土の中

乾いた道 黄色のラバーの凹凸の ひび割れたその端から

裂け目がのぞく 下にはただ土がある 死んだ土

 

ダイキとユウキ 大きな建物の前で 待ち合わせて

互いの名を呼び 両手を高く上げ交えて ピシャリという音が空気を切り裂く

その後には空が残る なにも含まない空

かしわ手の音は 布に刺されるマチ針 たくさんの穴が空いている

ゴワゴワのシャツに穿たれた ボタンより大きい穴

  

滝はとうに涸れている けれど水はどこかに 膨よかに貯まっている

すこしあまくて 旨い水

たくさんの兎が駆け 一兎が行方をくらます 一兎とともに迷い出る

そこはかつて 美しさに包まれて 全てが裏返って見えた運動場だった

 

今ではもう土の中 暖かく いい匂いのする

死んだのは土じゃなく 裂け目から見える空だった

貯まっていた水は 知らない間に 土の中へ

染み出していた