CDさん太郎 VOL.10 2019/3/23〜28購入盤

こんにちは。本記事はCD特化のディグ日記シリーズ「CDさん太郎」の第10回目になります。今回は2019年3月23日に上石神井で、25日吉祥寺、27日渋谷、28日に通販で購入したCDを計12作を紹介します。リスニングがなかなか追いつかず前回から若干時間が空いてしまいました。今も積リスCDが徐々に溜まってきているので、一生懸命聴いていきたいと思います。

本シリーズ「CDさん太郎」要旨、並びに凡例は下記第1回目のエントリをご参照ください。

shibasakiyuji.hatenablog.com

 

1.

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アーティスト:ニック・デカロ
タイトル:ラブ・ストーム
発売年:1991年
レーベル:ビクター
入手場所:ブックオフ石神井
購入価格:280円
寸評:自宅から最も近いブックオフであるにもかかわらず、そもそも西武新宿線を使うことが稀なので(使ったとしても帰路夜遅くになるため)あまり行く機会のないブックオフ石神井店。この日は一日家で作業していたので、散歩がてら気分転換に訪店。はたして、かなり良い成果を得ました。このニック・デカロによる91年作は、予てより色んなCD屋で見かけていたのですが、なんとなく今まで買わずにスルーしていたもの。が、冷静になって考えてみると、91年という、昨今ハマっているライトメロウ文脈からは黄金と言える時代、しかも山下達郎カバー集、その上サブスク未アップという購入への好条件揃い踏みななのでした。この時期国内レーベルから、日本のニューミュージック作家のオリジナル曲を海外アーティストにカバーさせるという企画が乱発されたのですが、基本的に適当なカバーでお茶を濁すことも多く聴くべきものは少ない印象です(ユーミンとサザンがそのジャンルの二大王者です)。しかし本作は、山下達郎自身も選曲に参加し敬愛するニック・デカロのために様々な面で丁寧なセッティングがなされているのが感じられる、非常に高クオリティなアルバムなのです。AORニック・デカロとえば、アレンジャーを専業とする人なので、名盤『イタリアン・グラフィティ』(74年)にも聴かれる通りボーカリストとしては音域も狭く決して技巧的とは言えない人なのですが、さすが山下氏、そういったニック・デカロの声域やクセ、ならびにメロディーの好みを熟知した上で選曲を行っているようです。どんな曲が取り上げられているかというと、アルバムタイトル曲をはじめ、「タッチ・ミー・ライトリー」「クリスマス・イブ」、「エブリーナイト」「ビッグ・ウェイブ」「オンリー・ウィズ・ユー」「ザ・ガール・イン・ホワイト」「ラブ・マジック」と、硬軟取り混ぜた素晴らしいもの。聴きものがこの企画のために書き下ろされたM5「グレート・コミュニケーター」。最高。「クリスマス・イブ」のアレンジも溜め息もの。バックを務めるのは、ディヴィッド・T・ウォーカー、ディーン・パークス、ニール・ラーセン、ハーヴィー・メイソンといった神々レベルのミュージシャンたちです。相当な安価で売っているのをよく見かけますので、発見したら絶対に買いです。大名盤と言っていいと思います。個人的に『イタリアン・グラフィティ』レベルに好きかもしれません。

 

2.

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アーティスト:ボーイ・ミーツ・ガール
タイトル:ボーイ・ミーツ・ガール
発売年:1988年
レーベル:MIDI
入手場所:ブックオフ石神井
購入価格:100円
寸評:以前light mellow部(の紙版?)にも登場していた記憶があるのですが、詩人・尾上文とギタリスト今井忍によるユニットの1st EPです。尾上氏は87年に坂本龍一がホストを務めたラジオ番組『サウンドストリート』にてデモテープ大賞を受賞したこともあるという経歴の持ち主。どういう経緯でこのグループが発足したのか謎めいておりますが、個人的に幼少期の記憶として、この頃青春ポエトリーという感じのブーム(銀色夏生さんや、もっと広範的にいうなら山田かまちなども)があったことを姉の本棚などから感じ取っていた身からすると、「あ〜、あの時代だなあ」という感慨が…。冒頭M1「裸足で散歩」の山下達郎スパークル」的カッティングに象徴されるように、このアルバムのテーマは「都会の男女による青春群像」という感じでしょうか。ユニット名はおそらくレオス・カラックスの同名映画からでしょうが、もちろんあそこまで抽象的な世界ではなく、もっとポップな、原田宗典の小説にような青々しさを感じます。そこが日本的でいい。ポエトリーリーディングといってももちろんシアトリカルなものではなく、かなりフロウ的で、もしかしたらラップも視野に入っているのかな?という感じです。佐野元春のラップや初期かせきさいだぁに近い感じかしら。声質は友部正人加川良風のフォーキーボイスで、そのイノセンスも素敵。しかし、こういうのをフルアルバム尺で聴くのはたしかにきついなあというところで、EPってのがちょうどよいですね。

 

3.

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アーティスト:バート&ジョー・ウルフ
タイトル:トランシジョンズ2 胎内宇宙
発売年:1995年(オリジナル:1990年)
レーベル:プレム・プロモーション(オリジナル:Transitions Music, Inc.)
入手場所:ブックオフ石神井
購入価格:100円
寸評:米アトランタの麻酔学専門医フレッド・J・シュワルツ監修の胎教音楽シリーズの2作目で、1990年に本国リリースされていたものを俗流アンビエント界の大手レーベル「プレム・プロモーション」が国内盤としてリリースしたものです。音楽を手がけるのはバート&ジョー・ウルフというニューエイジ系作家なのですが、これが実にスペーシーな内容で良い。vol.1はもっとクラシック寄りのものらしいのですが、これは相当にメディテーショナルなドローンアンビエントで、胎内音を模したサウンドとともに時折うっすらと女性コーラスが泳いで来たりも。リスニング音楽としてもなかなかに優れているという印象を持ちました。全1曲60分。

 

4.

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アーティスト:PROJECT INSPIRE
タイトル:SIBERAIN ヘルス・コントロール 〜ベスト・ウェイトを〜
発売年:1991年
レーベル:BMGビクター
入手場所:ブックオフ石神井
購入価格:280円
寸評:外資系メジャーレーベルは、当時あまり俗流アンビエント的なアイテムを制作していなかったのですが、BMGビクターもその例にもれず、おそらくこの「ウェルネス・ミュージック・シリーズ」がほぼ唯一のラインなのではないかと思われます。本作はタイトル通りダイエット効果を謳った作品。同シリーズ、数枚所持しているのですが、案の定というか、期待される効能と音楽内容の棲み分けがよくわかりません。アーティスト名の「PROJECT INSPIRE」もおそらく実態のある名前でなく、あくまで匿名的なプロジェクトということになるかと思います。実際に誰の手によるものなのか気になるところですが、ブックレットにもそういった記載は皆無。キングレコードの「サウンド・オブ・トランキリティ」シリーズなどでも多く作品のある元ヘヴィメタルアーミーの中嶋優貴(YUHKI)氏の作風とかなり似ており、契約関係上別名義で取り組んだ作品なのではないかなと推察したくなりますが、どんなもんでしょうか。ジャパニーズプログレ由来のシアトリカル感のある俗流アンビエントニューエイジです(あまり私の好みではありません…)。

 

5.

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アーティスト:フィフス・アヴェニュー・バンド
タイトル:リアリー
発売年:1990年
レーベル:VILLAGE GREEN(PONY CANYON)
入手場所:ブックオフ石神井
購入価格:100円
寸評:アメリカンロック界で最も早い時期に都市的洗練をまとった音楽を作り上げた伝説のバンド、フィフス・アヴェニュー・バンド。その泣く子も黙る69年作は、のちのAORの素の素になったものとしてスーパーマスターピースとされますが、一般にこの再結成版への評価は高くないのでした。それでも2010年にはSHM-CDとして再発されるなど、ファンにとってはおなじみの作品です。これも上記ニック・デカロとおなじく今までなんとなく敬遠してきた1枚です。しかしながら、今2019年に聴くと実にいい塩梅ですね。ファースト時にはピーター・ゴールウェイが主導権を握っていた感のある彼らですが、その後ゴールウェイがソロ作を重ねていく中である種ストリートロック的な世界に接近していったこともあり、2019年的感覚に照らしての本作での聴きものはジョン・リンドやケニー・アルトマンによる純AORチューンの方でしょう。ジョン・リンドはヴァレリー・カーターとのハウディームーンを経てアース・ウィンド&ファイアーなどへも曲提供を行ってきた人ですが、そういうキャリアの旨味がよく出ていると思います。音色は思いっきり1990年風のデジタルサウンドなため、オリジナル時代が好きな人からすると敬遠したくなるのも無理はないかなと思ってしまいます。が、今はこれがいいんですね。プリセット感バリバリのシンセ音がたまらないですね。ちなみにこの作品、ポニーキャニオン原盤の日本独自制作で、この時期アメリカンロックレジェンドたちの新作や編集版を盛んに出していた社内レーベル「ヴィレッジグリーン」からリリースされました。プロデュースにはピーター・ゴールウェイの盟友、長門芳郎さんもかかわられています。

 

6.

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アーティスト:村瀬由衣
タイトル:水曜の朝、窓を開ける
発売年:1992年
レーベル:ファンハウス
入手場所:ブックオフ石神井
購入価格:280円
寸評:ハタさんの「シティ・ポップ記録簿」にも登場し、特に1993年の3rdアルバム『眠る記憶』が名作と称賛されているので、界隈の方にはおなじみであろう村瀬由衣(なので、ここで僕が語るべきことはすでに少ないのですが)。私もその『眠る記憶』を昨年手に入れ愛聴しているのですが、なかなか見かけづらいとされるこの1stが上石神井店にポツンと売っていたので一も二もなく買いました。ハタさんも書いている通り、前半からM5タイトル曲にかけての流れが素晴らしいですね。しかしながら、どこか腰が入っていないというべきか、ややアレンジが上滑りしている感があるのは、楽曲と編曲のコンビネーションのすれ違いにあるような気もします…。しかしその中でもM5は繰り返し聴くうちにかなり気に入りました。「水曜の朝、窓を開ける」というタイトルがいいですねえ…。そんなことはないかと思いますが、水曜の朝にDJをする機会があればこれを是非とも掛けたいですね。

 

7.

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アーティスト:E-ZEE BAND
タイトル:Paisley Lover
発売年:1990年
レーベル:ロックイットレコード
入手場所:ブックオフ 吉祥寺店
購入価格:280円
寸評:ちょうどこの2日前の上石神井周遊のとき、有線からこのE-ZEE BANDによるヒット曲「My Girl」が流れてきたのでした。その曲を全然知らなかったのですが、あまりにいい曲だったものでその場に立ち止まって最後までじっくり聴いてしまったのでした(なんなら少し落涙した)。ブックオフ280円棚でもよくそのCDを見かけていたので、E-ZEE BANDの存在は知っていたものの、こんな素晴らしい人達だったんだ!と衝撃を受け、早速翌々日に発見したのがこの1stアルバムです。このバンドはひとことで言ってしまえば「ファンクポップ」ということになるかと思いますが、上述の「My Girl」はその中でもかなりポップよりのもので、ある種のスウィートさもあるのですが、この時期はまだまだゴリッとしたエレクトロファンク丸出しで、それはそれで実にかっこいい。大沢誉志幸岡村靖幸林田健司などといったファンククリエイターが数多く活動したこの時代ですが、そうした強烈な個性達に比べるとこのE-ZEE BAND及びリーダー兼ソングライター兼ボーカルのイクマあきら氏にはどこか人懐こさを感じます。声質的にはもしかしたら上記の人々の中でも最もプリンスに近いかもしれないのですが、プリンス的なキレ味というよりもどこか親しみやすいトッポさがあり、それがたまらなく良いですね。この作品、全編にわたって相当な好内容ですが(演奏も巧い)、特に素晴らしいと思ったのが95%打ち込みで作られている(時期的、サウンド的にDX-100あたりのヤハマ製シンセか?)M5「GIRL FRIEND」ですね。これちゃんとミックスしました?っていう、めちゃくちゃライン感のある硬質な打ち込みなのですが、楽曲自体がまあポップなファンク歌謡調で、そのミスマッチ感が不可思議な説得力を湛えた仕上がりになっています。ヒップホップ的というか、この生々しさはちょっとサウスとかG-FUNKに通じるような美学も感じますね。

 

8.

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アーティスト:MIKI
タイトル:FEEL DANDY
発売年:1990年
レーベル:ビクター
入手場所:ブックオフ 吉祥寺店
購入価格:500円
寸評:anoutaさんによる「トレンディ歌謡」に取り上げられているのを読んで以来すごく聴いてみたくてずっと探していたんですが、吉祥寺のブックオフコーナーに転がってました。その「トレンディ歌謡」の記事に詳しく情報がまとめられているので、ここで僕が付け加えるべきことは殆どないんですが、期待していたとおり相当に好内容です。このMIKI氏、あまりに匿名的なアーティスト名なので情報収集がかなり難しいのですが、これ以前に橘美喜の名でペッカー編曲のレガエ歌謡名曲「秋冬」を残している方のようです。村上秀一、岡沢章、佐藤允彦らも参加した高品質のフュージョンファンク風オケはかなり端正なのですが、MIKIのハスい歌声が炸裂し、ドテラい酒場感が。この声、誰かに似ているなあ…と思って聴いていたのですが、大西ユカリさんですね。相当に似ていると思う。M5のレガエも良い。

 

9.

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アーティスト:坂本龍一
タイトル:The Fantasy of Light & Life
発売年:1990年(非売品)
レーベル:KAB INC.
入手場所:ブックオフ 吉祥寺店
購入価格:500円
寸評:1990年に開催された大阪花博(わたしも当時親戚のおじさんに連れて行ってもらいました)内、「ひかりファンタジー 電力館」のエキシビション音楽として坂本龍一が制作したものを、当時会場内限定のお土産用としてCD化した商品です。これはおそらく氏のキャリアでもっともニューエイジ的なものに接近した音楽として、今となっては非常に貴重なものです。全体にアンビエント色が強く、電子音楽と生ピアノが絶妙に融合した相当なクオリティの作品集です(坂本氏なので当たり前だけど)。注目すべきは共同プロデュースとして日本環境音楽のエース小久保隆氏が関わっているという点でしょう。下で紹介しているlight in th Atiicの『Kankyo Ongaku』に入っていても一向におかしくない内容です。妙に俗的なライトクラシック風の曲も散見され、オリジナルアルバムにはあまりないそういうところが好き。特に良いのはM7のジャーマンシンセ音楽オマージュ「ひかりのワンダーワールド」でしょうか。あと、ブックレットがサンタナの『ロータスの伝説』みたいな特殊仕様で、気が利いております。一般非売品と言えどもそこまでレアではなく、稀にCDショップでも見かけます。

 

10.

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アーティスト:MITSUHIRO
タイトル:α波 1/fゆらめぎ 神経疲労解消のための音楽 波の音を聴きながら
発売年:1997年
レーベル:BANDAI MUSIC ENTERTAINMENT
入手場所:レコファン 渋谷店
購入価格:108円
寸評:各レーベルに大量のヒーリング音楽を吹き込んでいるシンセシスト、MITSUHIROこと光氷櫓。アポロンBANDAIと業務提携を結び社名を変えたBANDAI MUSIC ENTERTAINMENTからの本シリーズは、97年という俗流アンビエント全盛期後の時代もあってそこまで中古市場で玉数を見ないのですが、渋谷で発見。この時期になると本ジャンルでも音楽傾向の整理が進み、非常に洗練された、悪くいえば中庸なものになっていります。全5曲収録となっていますが、基本は2つの楽曲を微妙にバージョンを変えて反復するもの。ひとつはクラシカルなフレーズが反復する保守的なもので、もうひとつは非常にゆったりしたBPMでごくシンプルなシンセフレーズが2和音でループされるものです。どちらかというと後者の方がアンビエントとしては優れています。また、こういうCDをたくさん買っているうちに気づくのですが、波の音にもいろいろな傾向があって、中には「ザッブーン!バシャバシャ〜!」といった派手ではしたないものもあるのですが、これは実に奥ゆかしい波打ち際のさざめき音を使用しており、そのへんに好感が持てます。

 

11.

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アーティスト:최연제(Choi Yeon-Je)
タイトル:1집 소중한기억
発売年:1992年or1993年
レーベル:SKC
入手場所:レコファン 渋谷店
購入価格:650円
寸評:韓国ライトメロウに入門したいこのごろ。2016年に韓国に行った際はあまり時間がなくそういうディグをできなかったこともあり、今年改めて行きたいな〜と思っております。その予習も兼ねて、日本でそれらしきものを見つける度に買うようにしているのですが、これもその一環です。なにせハングル語にまったく通じていないため、この최연제がどんな方で本作がどんなアルバムかということもほとんどわからないのですが、稲垣吾郎主演映画「Private Lessons」の主題歌のカバーをヒットさせたことで韓国では著名なシンガーのようです。内容的には残念ながらライトメロウというよりもっとMOR的な女性シンガーというべき感じです。辛うじて、ファンキーなM6、K-AORなM7はライトメロウ的視点からも評価できそうです。他、ハイエナジー調、ニュージャックスウィング調など、この時代の雰囲気が濃密に閉じ込められている感じです。

 

12.

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アーティスト:V/A
タイトル:Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990
発売年:2019年
レーベル:Light in the Attic
購入サイト:amazon
購入価格:3,083円
寸評:本“CDさん太郎”初の新譜CDの登場です。これまで何度も本ブログでもその名が挙がり、あるいは、このところ色々な方々から言及されている本作、実をいうとこれまでパッケージ購入をずっとためらっていたのでした。というのも、本当はLPでほしかったのですが、初期アクションに失敗し安価なものは売り切れ。その後各サイトの並行輸入状況を注視していたのですが、ウナギのぼりに値段が上がっていく有様。サブスクでももちろん聴いているし(上がっているのは抜粋版ですが)、個別には持っている楽曲も多かったのですが、ブックレットが充実しているらしいこともあり、やはりこれを手元に置かない手はないよなあ…とグチグチ考えていたらあっという間に時は経ち。先日HMVの店頭でLPを見かけもしたのですが、めちゃくちゃに高くて。もうCDで買おう!と決心したのでした。で、アマゾンで注文してから約一週間で届いたのがこれです。内容については素晴らしいの一言。監修者のスペンサー・ドーラン並びにLight in the Atticのスタッフの熱意に頭が下がります。一応私も業界にいるので察しますが、こういう各メジャー音源を一曲づつ集めるコンピレーション盤が一番制作的に大変というのもあり、その苦労は並大抵でなかったはずです。ブックレットの充実、デザイン、仕様、総て120点です!しかしこの作品、こんなに話題になっているのに何故これほどまでに日本への流通が渋いのでしょうか。推察ですが、例の細野さんのLP諸作と同じく、ライセンサーである各国内メジャーが、日本への逆輸入防止のテリトリー制限事項を契約書に盛り込んでいるのではと思います。そのあたり、是非とも今後の是正を検討いただきたい。著作権処理が未整備という理由で国アーティストのYouTube動画へテリトリー制限をかけたり、海外向けサブスク販売を制限したり、そういった流れもだいぶ緩和されつつあるなか、権利運用を更に推進していくことの重要性が喧伝されていながら、杓子定規にその出口(マーケット)への蛇口を閉めてしまっては本末転倒なのではないでしょうか。法整備面の不備もあるかとは思うのですが、こういうの、どんどん変わっていくべきだと考えます。

 

次回へ続く…。