CDさん太郎 VOL.22 2019/12/30、31購入盤 後半

 怒涛の更新(正月休み中に書き溜めておいてよかった)。今回は、前回に引き続き2019年12月30日と31日に千葉県西部にて購入したCD群から、その後半分20枚を紹介します。
 本シリーズ「CDさん太郎」要旨、並びに凡例は下記第1回目のエントリをご参照ください。

shibasakiyuji.hatenablog.com

 

 

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アーティスト:Alan Roubik
タイトル:Immune System / Pain Relief Series 1
発売年:1995年
レーベル:Hado music
購入価格:110円
購入場所:ハードオフ千葉美浜店
寸評:アラン・ルービックは66年米カリフォルニア州生まれのピアニストで、元々は地元のジャズ・クラブで演奏を行ってきた人。93年に『Promises』というライト・フュージョン・アルバムをリリースするなどしていましたが、95年、当時ニューヨーク在住のI.H.M.国際波動友の会代表で作家の江本勝氏と出会い、「波動」という概念に開眼、それ以降多くのニューエイジ音楽の制作に携わるようになりました。これはその時期の初期作品で、そのものズバリ「Hado music」というレーベルからリリースされています。ロナルド・J・ワインストック博士の監修の元、人体に好影響を及ぼすという「波動」をふんだんに入れ込んだ音楽、という、まあ、よくある実用ヒーリングCD。その演奏はアンビエントというより無個性なスムース・ジャズ〜ライト・クラシック系の生演奏が主体で、個人的趣味からは外れるかなという感じ…。全編にタブラが敷かれた①は少しだけ面白く聴けるか。

 

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アーティスト:The Checkers
タイトル:Blue Moon Stone
発売年:1992年
レーベル:ポニーキャニオン
購入価格:110円
購入場所:ハードオフ千葉美浜店
寸評:チェッカーズのラスト・アルバムで、これ以前から取り組んできたソウル〜R&B路線の集大成的内容。しかも旧来型のシテ・ポップというより同時代に勃興していたアシッド・ジャズ経由のサウンドを志向しているというところが非常に重要。しかも、ほぼ全曲が明確にそういった志向の元で制作されているので、トータル・アルバムとしても素晴らしいです。ファンの中ではラスト・アルバムということもあってどうも悲観的な思い出とともに語られるフシがあるように思いますが、これは本当に傑作だと思います。とくに藤井尚之の才気煥発が印象的。作曲者としてはもちろん、こういうメロウ&ファンキーな曲想でこそ彼のキング・カーティス的サックス・プレイが光るというものではないでしょうか。ソウルフルなボーカリストとしての郁弥の魅力も満天。渋谷系の裏側にあって(一応メインストリームにおいて)こういった洒脱な音楽が作られた(そして正当に評価されることはなかった)ということが非常に興味深いですね。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:藤本ひとみ コレクション
発売年:1989年
レーベル:日本コロムビア
購入価格:110円
購入場所:ハードオフ千葉美浜店
寸評:後に影山ヒロノブのバンド「AIRBLANCA」を迎えてオリジナル・アルバムまで作ってしまうことになるライトノベル作家藤本ひとみ。厚生省職員〜地方公務員として務めながら少年/少女漫画の原作を手がけきたという極めて異色な経歴の持ち主なのですが、80年代から90年代にかけて全国の少女から絶大な支持を集めました。このCDは、藤本作品に登場するキャラクターが演奏を手掛ける?という体のイメージ・アルバムの第二弾作品なのですが、ほとんどが既存のクラシック曲をほぼそのまんま演奏したものとなっており、モノは言いようだな、と思わされます。編曲を手掛けるのは武蔵野音楽大学教授で作編曲家の川辺真で、ここでは商業仕事を行う際の変名たる風戸慎介名義で参加しています。それらクラシック曲はまあ聴いたとおりなので特に言及すべきところはないのですが、唯一の聴きものは唐突に現れるディスコ・ナンバー「DISCO with KARK」。ソウルの欠落した非常に即物的なオーケストラル・インスト・ディスコで、なかなか良いですね。

 

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アーティスト:KUSU KUSU
タイトル:光の国の子供達
発売年:1989年
レーベル:Gorilland Records
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:『イカ天』への出演をきっかけにデビューに至ったエスノ・ファンク・ニューヴェイヴ・バンドの1stアルバム。当時若干20歳そこそこ、可愛らしいルックスのためアイドル的な人気もあったといいますが(デビュー前の原宿ホコ天でのライブは1000人を動員したらしい)、じゃがたらの中村テイユウがプロデュースを務めていることからもわかるとおり、その音楽性はかなり本格的、というかめちゃくちゃ上手い。「じゃがたらのアフロ・ファンク色をポップに薄めたようなバンド」という印象をなんとなく持っていたのですが、改めてこのファーストを聴いて、その演奏力とセンスに恐れ入りました。リンガラやハイチのコンパなどまで射程に収めるパースペクティブ。やや一本調子なことが気にかかりますが、当時のメンバーの年齢を考えれば驚嘆すべきクオリティだと思います。もう少し電子楽器などを取り入れていればバレアリック視点での再評価もできるのかもしれませんが、当時の感覚からすれば生演奏こそモノホン、ということだったのでしょうから、ないものねだりというものですね。その後94年に活動休止するも、幾度か復活ライブを行っています。

 

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アーティスト:ズボンドズボン
タイトル:skirt
発売年:2001年
レーベル:フェスタトライスター
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:亜細亜大学のサークルに集ったメンバーによって結成されたバンド、ブコビッチから発展する形で誕生したズボンドズボン。一般的にはRAG FAIRのフロントマンでタモリ電車クラブ会員の土屋礼央が率いたバンドということで有名だと思います。私もリアルタイムでその存在を認識していたのですが、まさか2020年になって彼らのCDを(100円とはいえ)買うことになるとは思っておりませんでした。lightmellowbuブログ等において部長ハタさんが彼らの音楽を今シティ・ポップ的視点できけないこともないことを度々論じているのを読むうち、すっかり気になる存在に…そしてこの度安価で購入という物語。たしかにグルーヴ・ポップス風のJ-POPとしてかなりの水準だと感じました。演奏もアレンジ力も素晴らしく、いかにも「渋谷系をくぐり抜けた時代のJ-POP」という感じ。しかし、土屋のニキニキした歌唱法に違和感が…歌い方という点ではRAG FAIRのときの方が好ましいように感じました。ラストに収録されているミニ・コントはユーモアのグレイブヤード。ジャケットはなにからなにまでゼロ年代初頭の雰囲気。

 

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アーティスト:玉木宏樹
タイトル:玉木宏樹純正律ミネラル・サウンド remake vol.2
発売年:2004年
レーベル:有限会社アルキ
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:かつて本『CDさん太郎』第8弾にも登場した玉木宏樹。かねてより、玉木宏樹&S・M・T名義での名盤『タイム・パラドックス』(75年作)がプログレッシヴ・ロック・ファンの間で評価が高い東京芸大出身の作曲家/バイオリニストなのですが、そういった作風は一時的なものでむしろヒーリング的な文脈での作品リリースが多くを占めているように思われます。生前、氏の提唱した「純正律」という概念(西洋の平均律に対応する12等分音階)に基づいた作品を多数残していますが、この作品もそんなシリーズの一貫としてリリースされたものです。永六輔がラジオで純正律のヒーリング効果を取り上げるなど、一種のバブル的状況の中でリリースされた本作、その反響の大きさに戸惑う様子が本人執筆のライナーにしたためられており、なかなか面白いです。音楽内容としては、以前取り上げた『音楽浴 高原…はるか空よ』に通じるようなアコースティック・アンサンブルによる保守的なヒーリング・ミュージックで、まあ、そこまで面白いものではないように思います…。確かに音階の特異さが耳に入ってくることもありますが、それ以上にフレーズやアンサンブル構成に既聴感が横溢しており、もっとアヴァンギャルドな方法論での平均律音楽を聴いてみたいな、という欲求が立ち上がってきます。

 

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アーティスト:Do moja
タイトル:Do moja
発売年:1989年
レーベル:MASH RERCORDS
購入価格:290円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:これはまったくもって素晴らしいCDです。年に一度レベルの収穫と言っていいかもしれません。このDo mojaについてはネットにもほとんど情報がなく、例によってCDジャーナルのミニ・レビューと、Discogsへ本作の登録情報があるのみ。どうやら日本人音楽家によるプロジェクト?のようなのですが、これがファースト・アルバムのようです。音楽内容としては、ダブを経由したニュー・ウェーブ〜アヴァンギャルド・コラージュ・ファンク〜歪なラウンジ・ミュージックという感じなのですが、究めてドープな展開の中で時折妙にポップなフレーズが繰り出されたりと、まったくルーツというかジャンル傾向がつかめない…のですが、めちゃくちゃ素晴らしい。80年代のノイエ・ドイチェ・ヴェレなどが好きな人にとってはたまらないのではないでしょうか(私のように)。一方でテリー・ライリーをチープ化したような踊れないミニマル・テクノがあったり、アコースティック・ギターの極めて美しい爪弾きが主導する謎めいたニューエイジ曲があったりと、ますます不可思議。4トラのマルチ・トラック・レコーダーとテレコを駆使して録られたらしい音像もちょうどよいローファイさ(初期vaporwaveっぽい)。discogsなどの情報から推察するに、どうやらレゲエ〜ダブあるいはザ・フールズ〜じゃがたら界隈の「Carioka」という人(おそらく変名?)によるプロジェクトのようです。その諧謔性からはボアダムス的な要素も感じ取れるように思いますし、ミュート・ビート的クールさもあるという。それでいて、全体にメロウネスすら漂っているという。これ、完全に今聴きたい音ですね。90年代初頭にかけて他にも数枚を自主リリースし、6枚組のボックスなんてものも出しているようです(欲しい!)。このDo mojaについて何か情報をお持ちの方、是非ご教示ください。

 

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アーティスト:百石元
タイトル:θ波 潜在脳力開発
発売年:1991年
レーベル:アポロン
購入価格:510円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:SSI脳力活性研究所所長・田中孝顕氏監修による、アポロン発「シータ波ミュージック」シリーズ中の一作。私は他に2枚ほど所有しているのですが、数多い俗流アンビエントのシリーズ中にあって、なかなかに奥ゆかしい音楽的魅力をそなえたもの揃いだと思っています。本作を手掛けたのは、昨今ではAKB関連の編曲仕事でも知られる、百石元。かつては少なくないアニメ関連作品において実に音楽的な楽曲を手掛けている人なので(近年だと「けいおん!」シリーズが代表的仕事か)、俗流アンビエント仕事においても手を抜くことはなかろう、という憶測の元購入。果たしてなかなかの好内容だと感じます。基本的にシンセサイザー・オンリーのよくある俗流アンビエントかと思わせつつ、あくまでメロディーを重視する姿勢が新鮮です。かといって、よくある俗的旋律に陥らないところがさすがで、少ない音数をもって含蓄のあるアレンジを施したりと、プロの作家としての矜持が伝わってくるようです。本業の環境音楽作家の作品にはない面白みが確かに織り込まれているように思います。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:機甲警察 メタルジャック・HARD PLAY
発売年:1991年
レーベル:キング
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:91年4月から12までテレビ東京で毎週月曜夕方に放送されたサンライズ制作SFアニメ作品のオリジナル・ドラマ〜サントラCD。ドラマ部を聴くにサイバー・パンク系の内容のようで、むしろ今になってアニメ作品自体も観てみたい気がしますが…。ついついドラマ部をスキップしたくなるのですが、このCDは場面転換のようにやけにカッコいい劇伴(主にハード・フュージョン)が入っていたりして油断がなりません。とはいえ注目すべきは劇中スコアの方で、これらはすべて初期のZOOの楽曲の編曲も手がけた岩崎文紀の手によるもの。しっかりと生楽器演奏も交えたなかなかにクオリティの高い劇伴です(ちょっと前時代的ではありますが…)。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:新選組異聞 蒼き狼たちの神話1.「天道」
発売年:1991年
レーベル:ビクター
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:『クルセイダー』などで知られる漫画家・水縞とおる原作の新選組作品のドラマCD。ほとんどがドラマなのですが3曲だけ歌ものが収録されています。どれもまあここで言及すべきものでもない気もしつつ…③のOPテーマだけは跳ねたビートとオケのアレンジがすこしだけ面白いテクノロジー・ポップス。が、ただ、それだけ。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:真東砂波オリジナルアルバム ペンギンの王様
発売年:1994年
レーベル:テイチク
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:BL漫画家・真東砂波の作品『ペンギンの王様』のイメージ・アルバム。藤木和人と石塚まみによるThousand Sketchesや、五味美保(五味千賀庫名義)、寺嶋民哉、山口英次など主にアニソン系の作家が集結していますが、全体にめちゃチープな打ち込みハード・ロック〜ポップスがひしめきあっており、ちょっと個人的趣味からは遠慮したい感じ。要するにスーパーのBGM的な感じなのですが、少しでもフュージョン寄りだったら良かったなあ、という。いくつか入っている歌ものもツライ。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:逮捕しちゃうぞキャラクターソングス 歌う警察官
発売年:1995年
レーベル:ビクター
購入価格:290円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:藤島康介原作の漫画『逮捕しちゃうぞ』はアニメ作品としても多大な人気を誇っていた作品で、関連CDも大量にリリースされています。どれを買っていいものかよくわからんなあというところなのですが、安価で売っていたのでコレを購入。キャラクター・ソングスというのは一般的に歌ものにフォーカスした(比較的)練られた楽曲が多く収録されていることが多いのですが、まさに本作もその類でした。ロック調やアイドル・ポップス調を基本として、宴会の演歌カラオケを模したものなどおちゃらけた曲も多いのですが、③、⑤、⑨が素晴らしいです。特に③は「データとデート」という曲名の通り、この当時起こりつつあったパソコン情報革命をモチーフとしたもので、相当に素晴らしいテクノ歌謡。おそらくいわゆる「YMO歌謡」を意識しているのが明白で、小池玉緒などにも通じる世界。本当に良いです。⑤はハイエナジーなテクノロジー・ポップ。⑨は男女警官が歌うロマンチックなテクノロジー・ボッサ。これもかなり良いです。A&M的なソフトロックを確実に視野に入れている感じで、おそらく90年前後のピチカート・ファイヴを意識しているかと思われます。戦前歌謡風のジャケットは意味不明。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:20面相におねがい!! 恋ほど素敵なミュージカルはない
発売年:1991年
レーベル:ビクター
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:CLAMPによる『20面相におねがい!!』の、ミュージカル仕立てオリジナル・ドラマCD。セリフ部は置くとして、OP曲がなかなかよくできたビッグ・バンド・スウィング・ジャズ風のミュージカル・ポップスになっています(歌は新居昭乃)。それもそのはず、全ての作編曲をSMAPの仕事で著名な長岡成貢が手掛けているのでした。とはいえども、キャラクターと原作ありきなことも確かで、音楽単体で楽しもうとするのはなかなか無理があるかもしれません…。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:バトルアスリーテス 大運動会・北海慕情
発売年:1997年
レーベル:パイオニアLDC
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:西暦4998年を舞台として、エリートのみが出場することができるスポーツ大会「大運動会」を目指す少女達の姿を描くスペース・オペラOVA作品のオリジナル・ドラマ〜サントラCD。冒頭からあからさまに初期ビートルズ調のテーマソングが流れてきて面食らういますが、その後はいい塩梅にチープな劇伴フュージョン〜ポップスが続きます。少しドゥービー・ブラザーズ風の⑨が好ましいですね。だが、まあ、それだけ。

 

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アーティスト:上野耕路、他
タイトル:帝都大サウンドトラック
発売年:1989年
レーベル:東芝EMI
購入価格:290円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:荒俣宏原作、実相寺昭雄監督の映画『帝都物語』(88年公開)は、加藤保憲役の嶋田久作インパクトもあって、幼少期からなんとなくおどろおどろしい作品だなあ、と畏怖を抱いていました。後年大人になってから観てみると、なんとも狙いすました映画でまったく怖くない、というより残念ながら単純に映画美学的な魅力を感じることがなかったのですが…。ということで、その続編にあたる『帝都大戦』も未鑑賞なのですが、音楽の方に関しては上野耕路が担当しているということでなんとなく興味をもっていたのでした。前作の石井眞木の重厚な作風を受け継ぐような弦楽曲で占められているのですが、どこかコケおどしの昭和ゴシック感というか、妙に深刻ぶりつつ内実は軽薄というか…一連の帝都物語シリーズそのものに通底する軽さが目立っています。しかしそれ自体が悪いことかといとそうでもなく、いかにもこの時代ならではのペダンチック(なのに軽い)ポストモダンぽい文化人仕草に通じるような気がし、時代的資料としても面白いなあと思ってしまうのでした。このあたりが上野耕路の個性とも合致している気がし、そういう意味ではとても含蓄のある劇伴仕事だな、とも。最後、主題歌として使われた(なんで?)ジャニス・イアンの「Heaven Knows」が流れてくるんですが、あまりのギャップに笑ってしまいます。

 

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アーティスト:駒沢裕城
タイトル:イン コンサート
発売年:1994年
レーベル:PANORAMA MUSIC
購入価格:510円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:ex.小坂忠とFour Joe Half〜はちみつぱいのメンバーで、日本におけるペダル・スチール・ギター演奏の第一人者である駒沢裕城のライブ作品。録音はそれぞれ91年に北沢タウンホールで、そして92年にクラブクアトロで行われたもの。これ以前にリリースされたソロ・アルバム『Feliz』(91年作)同様ペダル・スチール・ギターという楽器が奏でる音色の麗美さと、非常に綿密で静謐なアンサンブルの妙を聴かせてくれるインスト曲が揃っています。端的に言って、最高…です…。かねてよりハロルド・バッドやダニエル・ラノワが表現してきたアンビエント世界を日本において独自に究めたといえるような、もはや崇高さすら湛えた音楽。今作においては、田村玄一篠田昌已、関島岳郎、中尾勘二向島ゆり子、六川雅彦、横澤龍太郎という素晴らしいバックアップ・メンバーを得て、より一層深遠な音楽世界を聴かせてくれます。本当に素晴らしい!

 

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アーティスト:吉村弘
タイトル:WET LAND
発売年:1993年
レーベル:東芝EMI
購入価格:510円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:以前吉村弘の『サラウンド』を埼玉のブックオフで発見した時は我が目を疑ったというか、こんな僥倖もう二度とないだろうなあと思っていたのですが、再びあるもんなのですね…しかも大晦日に…。この『WET LAND』は当時東芝EMIが企画した「心の音楽 リラクゼーション・ミュージック」シリーズの一作として企画されたもので、私はこの他に森本浩正氏による作品も所持しているのですが、その作家チョイスからわかるようにそこいらの俗流アンビエントを完膚なきまでに蹴散らす素晴らしい内容です…。生前吉村氏のオフィシャル・ディスコグラフィーから除外されていた作品のようで、その存在が広く知られるようになったのは数年前にYouTubeにフル・アルバムがアップされてからでしょう。Teen Daze始め本作からの影響を公言するアーティストがいたり、その波及力は『サラウンド』や『A.I.R.』、『MUSIC FOR NINE POSTCARD』などに勝るとも劣らないかと思われます。内容に関しては本当に何も言い添える必要がない、どこまでも素晴らしい珠玉の環境音楽。こうやってあらためてじっくり聴くと、本当にハーモーニーのセンスが素晴らしすぎますね。CDオンリーの本作、現在の時価は200ドル前後となっています(CDは逆に発掘されづらいこともあり、出品自体をあまり見かけませんが)。

 

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アーティスト:RHINOCEROS
タイトル:FUNK ON THE RAILROAD
発売年:1991年
レーベル:東芝EMI
購入価格:290円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:江川ホージン、44マグナムのヴォーカリストのPaulこと梅原達也、山根もとつぐ、堀尾てつじらからなるファンク・ポップ・バンドによるセカンド・アルバム。粘りのある相当本格的なリズム・セクションが特長で、デジタル・サウンドに逃げないところも好感が持てます。ボーカルはちょっとKONTA風。華もあり売れそうな要素もあるのですが、いかんせん曲(というかメロディー)がちょっと地味かなあ、という…(済みません)。本来そういう聴き方をするものではないと思うのですが、シティポップ・ディガーからするとやはり物足りないですね(そういう意味でやはりE-ZEE BANDなどは素晴らしい…)。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:外科医 有森冴子Ⅱ オリジナル・サウンドトラック
発売年:1992年
レーベル:バップ
購入価格:290円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:92年10から12月まで日本テレビ系列で放送されたドラマ『外科医 有森冴子 パート2』のオリジナル・サウンドトラック。大橋純子の主題歌に加えて、大野雄二が担当したスコアが収録されています。いきなりバート・バカラック風のオープニング・テーマが楽しく、大野雄二の気合いの入った仕事ぶりが味わえます。他、日常描写系フュージョン⑤、サスペンスフルなシンセ・ウェイブ⑦、もろクインシー・ジョーンズな⑨などなかなか聴きごたえのある曲が多いように思います。しかし、こういう豪奢(で少し歌謡的な)なストリングス・アレンジがほどこされたスコアって本当に減りましたね…。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:倉橋燿子 ラストシーン
発売年:1994年
レーベル:日本コロムビア
購入価格:290円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:ライトノベル作家・倉橋燿子の文庫作品『ラストシーン』のイメージ・アルバム。ムーンライダーズ周辺の仕事や文筆業でも知られる渚十吾と、カーネーションのメンバーでもあったキーボーディスト棚谷祐一が全面的に演奏に参加しており、ちょっと一般的なイメージ・アルバムとは様相を異にしております。どういった経緯でこの仕事を受けることなったのかは謎めいていますが、倉橋燿子の世界に寄せつつも、ちゃんと音楽的意思や作家性が入っているところが流石。チープなシンセ・サウンドがホームセンター感をそこはかとなく演出しますが、楽曲構造やアレンジはやはりかなり凝ったものが多く思います。⑦なんて同時期のカーネーションを彷彿とさせるようなロック曲。ヨーロッパ趣味の味付けもなかなか面白いですね。石田よう子の歌う⑩の浮遊感あふれるエイス・ワンダー風トラックも素晴らしい。


次回へ続く…。