CDさん太郎 VOL.27 2020年秋 購入盤より抜粋版

こんにちは。大分久々の更新となるCDディグ日誌『CDさん太郎』です。
更新の止まってしまってしたこの間もコツコツとCD購入は続けておりまして(もちろん緊急事態宣言で一時中断はあったにせよ……)、増え続けるそれに対処すべく宅のラックを増設したりと、まあ相変わらずの状態でありました。 

9月には、「DJ PIGEONの知らない音楽」というイベントが渋谷の頭バーで開催され、主催のDJ PIGEONさんはじめ、珍盤亭娯楽師匠さん、数の子ミュージックメイトさん、デラさんという強すぎるメンツとともにDJ出演させてもらうなどもしました。そのイベントがあまりに濃厚で、一時すこし燃え尽き症候群のようになってしまいましたが、最近はまたペースを取り戻し、コツコツとCDを買い集めているのでした。
今回はそんな中からひとつかみ、抜粋的に紹介をしてみようと思います(これが最近のベストディグであるとか、特段の意図はなく、あくまで「ひとつかみ」です)。

 

本シリーズ「CDさん太郎」要旨、並びに凡例は下記第1回目のエントリをご参照ください。
(もう去年の2月の話なのか……ここで述べたこともそれなりに共通認識化した(?)ように感じたり、感じなかったり)

shibasakiyuji.hatenablog.com

 

 

1.

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アーティスト:Shell HELIX
タイトル:Quality Drive Sound What is Shell HELIX?
発売年:不明(1990年代後半〜2000年頃?)
レーベル:昭和シェル石油株式会社
入手場所:ブックオフ駒沢大学
購入価格:290円
寸評:昭和シェル石油株式会社のエンジンオイルシリーズ「Shell HELIX」の販促のために制作されたオリジナルノベルティCDです。カーケア商品を扱う店の店頭などで配布されていたものなのかもしれません。クレジットをみてもどこにも製作年が記載されていませんが、音質などから推察するに1990年代後半から2000年頃にかけて録音されたものではないかなと思います。インターネットを調べてみても、オークション等への出品情報しか出てこず、よくわかりません。音楽性としては、ガットギターを主軸としたアコースティックなジャズ〜ボッサ、という感じで、正道的なイージーリスニングです(アーティスト名義は匿名なので、誰が演奏しているかも不明)。ちょっとカリオカなどと近いでしょうか。予算の都合上だと思いますが、生楽器に加えてリズムが打ち込みされていたり、すこしだけ面白い場面も。もっとも良いトラックは①の「TIME MASCHINE」で、主情的なバイオリンがうざったいですが、カホン(の打ち込み?)なども交えたイージークラブジャズ。本盤はドライブ向けに特化した音楽集ということですが、ネットの出品情報によると夏をテーマにした別作もあるようです。

 


2.

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アーティスト:パチャママ
タイトル:大地母神
発売年:1995年
レーベル:大地母神
入手場所:ブックオフ駒沢大学
購入価格:290円
寸評:1970年にキングレコードから歌手としてデビューし数枚のLP/シングルのリリースもあるオカリナ/シンセサイザーサンポーニャ/コチョーラ担当の野上圭三と、現在はジャズドラマーとしてもローカルに活動する打楽器担当・柿本秀明によるユニット、パチャママのおそらく唯一作。パチャママというのはケチュア語アイマラ語で「母なる大地」を意味する語だそうで、アルバムタイトルもそこからきているようです。野上氏は中南米ギリシャ、エジプト、中近東を放浪し民族音楽を学んだ経験があるそうで、その嗜好が濃密に反映された純ニューエイジ作です。とはいえメロディーやハーモニーの感覚は逃れ難く「和」で、そのあたりからし菩提樹など和ニューエイジのレジェンド達にも近い印象。しかしながら、自主制作らしい荒削りさも随所にあり、とくにシンセの音が録りっぱなしというか、鳴らしっぱなしな野放図さがあって面白いです。全編にわたって歌謡集が漂う中、③「トゥリシュール」のドープさが際立っており、きわめてシンプルなドローンにふわふわと上モノが乗るアンビエント性の高い曲。後半になると各種打楽器も交わり、なかなか面白い。⑨の「エピローグ」もミニマルなシンセがゆっくり反復するだけの曲で好ましく聴けます。

 

 

3.

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アーティスト:夏絵菜
タイトル:She loves summer 夏物語
発売年:1992年
レーベル:エイベックス
入手場所:ブックオフ駒沢大学
購入価格:510円
寸評:『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』掲載盤。本『CDさん太郎』Vol.23で取り上げたMAYUMIと同じく、当時いまだ海の物とも山の物ともつかぬ存在だった初期エイベックスが送り出した邦楽カヴァーもの。夏絵菜が何者なのかは不明で、そのへんでスカウトした新人さんということなのだと思いますが、歌唱力も中の上といった感じ。ここで注目すべきはそのトラックで、コンセプトに夏を掲げている通り、全編ラヴァーズロック風でまとめられています。取り上げる曲は「SUMMER CANDLES 」(杏里)、世界でいちばん熱い夏 (Princess Princess)、「真夏の果実」 (Southern All Stars)、「夏のクラクション」(稲垣潤一)、「八月の恋」(森高千里)、「ガラス越しに消えた夏」(鈴木雅之)、「ミスター・サマータイム」(サーカス)、「湘南MY LOVE」(TUBE)「君のハートはマリンブルー」(杉山清貴オメガトライブ)「STILL I'M LOVE WITH YOU」(角松敏生)。シティポップ的重要曲も多いので、それなりに楽しんで聴けますが、いかんせんぬるい……。クレジット記載がないため全打ち込みのオケは誰が作っているのか不明。

 

4.

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アーティスト:佐々木幸男
タイトル:Jealousy
発売年:1990年
レーベル:ワーナー・パイオニア
入手場所:高円寺BE-IN RECORDS
購入価格:250円
寸評:オールドロックの高額盤の多く揃った高円寺のBE-IN RECORDSは、オリジナル盤信仰の薄い自分としては頻繁に行くことのない店なのですが、フラッと入ってみたらCD全品50%オフのセールを催しており、何枚か購入。佐々木幸男はポプコンをきっかけにデビューし70年代後半から長く活動するニューミュージック系のシンガーソングライターで、デビューLPの『ほーぼー』(77年)を始めとして良質な作品を多くリリースしている人です(個人的には82年の『Yes』が特に素晴らしいと思います)。これはCD時代に入ってから久々にリリースしたアルバムで、ロンドンで活躍する日本人ベーシスト、クマ原田のプロデュースの元現地録音されたもの。原田まわりの手練(ジェリー・コンウェイ、マックス・ミドルトン、スノーウィー・ホワイトなど、かなり豪華)が全面参加しており、なによりもまずオケの質が相当に高い。米国録音の同様企画もこの時期多発していますが、それらのようにアッパー&シャイニーにすぎず、英国ソウルの伝統を感じさせる硬質なアレンジなのが良いですね(好みが分かれるかと思いますが、ホワイト・ブルース色も有り)。佐々木のスモーキーな声質にもよくあっているように思います。彼の自作曲はニューミュージック的な湿り気を帯びたメロディーを持つ曲が多いのですが、こういうアレンジを得ることでむしろ輝きを得ている気もします。ベストトラックはメロウボッサ⑨か。ちなみに本作、伝説のライトメロウ系ブログ「Music Avenue」でも取り上げられていました。

 

 

5.

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アーティスト:アンディーズ
タイトル:アンディーズ
発売年:1996年
レーベル:ソニー
入手場所:高円寺BE-IN RECORDS
購入価格:150円
寸評:Tスクエアのギタリスト安藤まさひろが後にバンドへ参加することになるキーボーディスト難波正司と組んだユニット「アンディーズ」によるアルバム。Tスクエア本隊もそこまで聴いているわけでない私ですが、冒頭、いきなり私が苦手とするかのバンドの要素が増幅されたようなハードフュージョンチューンが飛び出してきてなかなかツライ……と思っていたところ、元シーウィンドのポーリン・ウィルソンをヴォーカルに迎えたアップリフティングなライトメロウチューン④で、ありがとうございます。続く⑤や⑦も品の良い生音系フュージョンで悪くありません。それにしても、帯に大きく「脱ジャンル宣言」とあって、どんな音楽なんだろう?と期待していましたが、フュージョン、ロック、AOR想定の範囲内で料理した印象を超えるものでなく、そりゃそうか……という感じ。

 

 

6.

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アーティスト:斎藤岳司
タイトル:光・響・詩
発売年:1997年
レーベル:ナチュラルヒーリング
入手場所:ブックオフ阿佐ヶ谷店
購入価格:500円
寸評:氣功師/ヒーラー/神秘研究家の刑部恵都子が主宰するナチュラルヒーリング研究会というニューエイジ団体が制作したオリジナルCD。その時点で最高潮に抹香臭い極北的ニューエイジで、こういうものは往々にして音楽的には残念なものが多い印象なのですが、本作はかなりイケます。まずそのコンセプトがすごい。研究員(?)23人とともにギザのピラミッドまで赴き、暗い玄室内で耳にしたという(?)光の精霊達が奏でる音楽を再現する目的で作られた由。実際に音楽を制作した斎藤岳司という方がどういうミュージシャンなのかもまったくわからないのですが、時折モロにクラウス・シュルツェ〜伊藤詳系譜というべきシリアスなシンセサイザーミュージックを聴かせてくれるのでした。①や⑧あたりはかなり良いのでは。とはいいつつ、このCDの主役はあくまで刑部恵都子先生であり、彼女の霊妙な語りが大フィーチャーされています。その内容はもちろん、声質や話し方も含めてなかなかすごい雰囲気です。

 


7.

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アーティスト:向後隆
タイトル:音の礼拝
発売年:1993年
レーベル:プレム・プロモーション
入手場所:ブックオフ阿佐ヶ谷店
購入価格:510円
寸評:向後隆は、芝浦工業大学・電子工学科出身で、卒業後は赤井電気の電子楽器開発部署にてシンセサイザーの企画/開発にあたっていたという経歴の持ち主。その後86年からインドに渡り演奏修行を重ね、ベンガル地方の弓奏楽器とシンセサイザーを使った環境音楽を制作してきた人で、Awa Recordsの名コンピ『しおのみち二の巻』に参加していたり、ポップス系のレコーディングにも顔を出すなどかなり広範囲に活動しており、単独作もかなり多くあるようです。これは俗流アンビエントの名門であるプレム・プロモーションから93年にリリースした作品で、ヨガ体操実践のための背景音楽として使用することを推奨されています。よくあるインド古楽器系のニューエイジかと思えばそうでもなく、抑制的なメロディーや浮遊感あるハーモーニー、シンプルな構成はかなり正統的環境音楽を思わせるものであり、イーノからの影響も色濃く感じます。打楽器を交えたミニマルな曲も好ましい。そういわれると、ジャケットにもどこか品格がありますよね。

 


8.

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アーティスト:山木秀夫
タイトル:Tentelletsque
発売年:1990年
レーベル:創美企画
入手場所:ユニオンレコード新宿
購入価格:650円
寸評:マライアでの活動をはじめとして日本の音楽シーンを表から裏から支えまくってきた天才ドラマー山木秀夫のファーストソロ作。これは素晴らしいアルバムです。元々生田朗のプロデュースで制作が進められていたらしいのですが、氏の死去により途中から吉田美奈子がバトンタッチして完成させたアルバム。生音と打ち込みの棲み分けが判別し難い部分があるのですが(それくらい巧みなプロダクション)、ドラムと時折聴かれる吉田美奈子のヴォイス以外基本的には打ち込み中心なのかなと思います。コンピュータープログラミングを担当しているのが椎名和夫だというのも面白い。内容的には全編今こそ聴きたい硬質な和レアリック、電子ファンク、アヴァンギャルドジャズ、ポストモダン民族音楽のオンパレード。ペッカーとの仕事などもそうですが、吉田美奈子アヴァンギャルドサイドが炸裂しまくっている印象で、山木氏はもちろん、改めて本当に偉大な人だなと再認識。⑥には近藤等則氏(安らかに……)も参加。96年にMIDIから再発されているようですが、この初出盤含めてあまり出回っているのを見かけません。アナログ再発されたらけっこう話題になるはず。

 


9.

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アーティスト:不明
タイトル:効果音楽大全集 マルチメディア「音ネタ」シリーズ⑪ セレモニー編
発売年:1998年
レーベル:キングレコード
入手場所:ハードオフ東松山
購入価格:100円
寸評:キングレコードが得意とする「効果音楽」(ホームビデオや式典などで主に素人が任意に使用すべく作られた実用音楽)連作の中でもひときわ派手なネタが入っていることから、見つけるたびについつい買ってしまう「マルチメディア「音ネタ」シリーズ」の中の一作。各種セレモニーで使用しやすいチャイムやオープニング/エンディング/映像BGM向け音楽(やジングル)が全60トラック収録されています。目当ての「オープニング音楽」と「紹介VTR」のパートにやはり面白いものがありました。異様にメロウな打ち込みフュージョンや、バウンシーなハウスなどが混入しています。例によって製作者は不明。DJの一曲にオープニング用音楽をかけて登場したらかなりウケるのではないでしょうか。数学の教科書みたいなジャケットも良い。

 

CDさん太郎 VOL.26 2020/1/29購入盤 前半

 こんにちは。今回は、2020年1月29日に東京・吉祥寺、荻窪、中野で購入したCD計13枚を紹介します。
 前日にTBSラジオ『アフター6ジャンクション』出演のために来京したlightmellowbuハタ部長とともに、都内各中古店舗を回れるだけ回ろう!ということになったのですが、結果私のほうが大量に買いまくることになってしまいました。
実際は今回紹介するのはこの日買ったものの半数以下でして、別途レコファンBEAM渋谷店で大量購入した分もあり、それらはまた後半版として後日レビューできればと思っております。
 本シリーズ「CDさん太郎」要旨、並びに凡例は下記第1回目のエントリをご参照ください。

 

 

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アーティスト:河内淳一
タイトル:Juice
配布年:1992年
レーベル:ファンハウス
購入価格:145円
購入場所:ブックオフ吉祥寺店
寸評:lightmellowbu『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』にも91年作『Private Heaven』が取り上げあれている作曲家/ギタリスト/シンガーの河内淳一。70年代から活動するベテランで、『よろしくメカドック』のテーマ曲「よろしくチューニング」を手掛けたバンドSTR!Xや、KUWATA BANDのメンバーとしてのキャリアもある才人。これはそんな彼の4作目で、憧れのビル・チャンプリンをプロユーサーに迎えた豪華アメリカ録音盤。その上ジェフ・ポーカロ、マイケル・ポーカロも参加しており、完全に黄金期TOTOサウンドを踏襲したようなハードAOR集となっています。この人の作品は基本的にそういったウェストコーストロック路線のものが多く(ギターを弾きまくることも度々)、あまりライトメロウ的観点から光が当てられることがないように思うのですが、なかなかどうして、佳曲は沢山ある印象。本作でも、タイトなファンク②、③、心地よいミディアムスロー⑥など、結構良いのではないでしょうか。ボーカルもクリアなハイトーンボイスで素敵。本作リリース後は徐々に表舞台から退いていき、現在では千葉県松戸市のライブハウスの店長兼エンジニアを務めているようです。

 

 

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アーティスト:中村幸代
タイトル:THE ARCH OF THE HEAVENS
発売年:1994年
レーベル:ポニーキャニオン
購入価格:145円
購入場所:ブックオフ吉祥寺店
寸評:神奈川県鎌倉市生まれの作曲家/エレクトーン奏者・中村幸代の4thアルバム。1stを『『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』』で、2ndも以前本「CDさん太郎」で取り上げている通り、私はすっかり彼女のファンです。この4作目では編曲を自らが手掛けているのですが、これが実に良い。優れた鍵盤奏者であるとともにプロデューサー的な気質も兼ね備えていたのでしょう、全ての曲に関してツボを押さえたアレンジぶりをきかせてくれます。基本的にはライト・クラシック、フュージョン、ポップ・インストゥルメンタルを基軸としているのですが、ときおり聴かれるアンビエント的パートがとても良いです。ヤマハ文化圏にありがちな、エレクトーンやシンセサイザーの音色コントロール面での不器用さ(センスの悪さ)を露呈してしまうようなことは一切なく、かなり繊細な音響意識の元に作られていることがわかります。まあ、その上でなお、いわゆるエレクトーンっぽい音色やいかにもプリセットなシンセサウンドを味わうのも一興なことは確かなのですが。本作で自信をつけたのか、この後は主にテレビや映画の劇伴音楽を盛んに制作するようになり、かなりの売れっ子になっていくのでした。現在はFMたちかわのパーソナリティとしても活動中。

 

 

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アーティスト:FLAGS
タイトル:BREATHLESS
発売年:1996年
レーベル:iMME
購入価格:145円
購入場所:ブックオフ吉祥寺店
寸評:COSA NOSTRA桜井鉄太郎がプロデュースした5人組ポップユニットによるミニ・アルバム。フジテレビ乙女塾元メンバー吉田亜紀も在籍。①はいきなり中期ビートルズ風で面食らいますが、②「MIRACLE」が素晴らしい!これぞ渋谷系、というべき箱庭フリーソウルの佳曲で、DJ現場で盛り上がりそうなちょうどよいアンセム性を秘めているように思います。初期モータウン調の③もなかなかよい。あまりに90年代後半なクラブジャズ経由のデジタルビートが今だとちょっと厳しい④、⑤は飛ばすとして、⑥もなかなか好ましいですね。本作、当時の最先端技術であるエンハンスドCD仕様となっており、どうやらMV的なものが収録されているようなのですが、今となってはどうやって再生するのかもよくわからず、視聴できず。

 

 

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アーティスト:本上まなみ
タイトル:ラヴレター・トラックス
発売年:1998年
レーベル:ヒートウェーブ
購入価格:255円
購入場所:ブックオフ吉祥寺店
寸評:女優・本上まなみのイメージビデオ『ラヴレター』のために制作された音楽を収録したサウンドトラック盤。そんなものまでリリース出来てしまったCDバブル時代に驚きを覚えますね。なんかしらニューエイジテイストのあるトラックがはいっていたら良いなあくらいの淡い期待で買ったのですが、まあやっぱりというべきか、クラシカルなオリジナルピアノ曲やギター、ストリングスなどが中心となったアコースティックな純BGM音楽でした。ところどころ電子音やリズムを交えた瞬間が出現し、おっと思わせるのですが、中庸なライト・クラシックに寄りすぎていたり、98年ぽい軽薄なクラブジャズ感が配合されているので、今聴くのは結構キツい…。作曲/演奏陣は、見良津健雄、宮原恵太、重松明宏等。本上まなみ本人による無内容な語りも収録されています。

 

 

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アーティスト:マッキン・アンド・ザ・ニューミュージック・スタッフ
タイトル:マッキン・アンド・ザ・ニューミュージック・スタッフ
発売年:2006年
レーベル:Primal Revue
購入価格:255円
購入場所:ブックオフ吉祥寺店
寸評:ハタさん推薦盤。流線形のベース奏者としても活動するマッキンこと松木俊郎氏のデビュー盤。本人は作曲とアレンジ、ベースに徹し、残響カフェなど沢山の周辺アーティストが演奏と歌唱に加わるというアランパーソンズプロジェクト的スタイル。いかにもこの時代の70年代シティポップ・リヴァイバルのサウンドといった感じで、たしかにこれがデビュー盤というのはすごいセンスと技術ですね。生演奏志向、いい(アナログな)音、自然体な歌というゼロ年代感が今聴くとこそばゆい感じがしますが、当時の「グッドミュージック観」のようなもののもっとも素直な表出として、今後更に歴史的な価値を帯びていくことと感じます。金澤寿和氏編著『Light Mellow和モノSpecial』にも掲載されていますね。

 

 

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アーティスト:横山智佐
タイトル:f【éf】
発売年:1996年
レーベル:ファンハウス
購入価格:145円
購入場所:ブックオフ吉祥寺店
寸評:『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』掲載盤です。これは素晴らしいですね。『サクラ大戦』のヒロイン・真宮寺さくら役等で著名な声優・横山智佐による4thアルバム。全体に60年代初期モータウンやガールズポップの意匠をまといながら、シティポップ的洗練を加えた歌謡アイドルポップという風情。楽曲自体やアレンジもかなり凝っていて、作り手の本気を感じます。一時期の竹内まりや川島なお美などのキャンパスポップ的な世界が好きな方にはたまらないのではないでしょうか?人気声優だけあって歌の表現力(演技力)も流石で、タレントさんがテキトーに歌った場合にありがちな空疎感がないというのもポイントかと思います。渡嘉敷祐一渡辺直樹、中西康晴、ジェイク・H・コンセプションという手練による演奏も力の入ったもの。また、特筆すべきがホーンセクションの躍動で、数原晋グループによるものです。

 

 

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アーティスト:なし
タイトル:地球星 PULSATION 〜クリスタル・ミュージック〜
発売年:1991年
レーベル:ビクター
購入価格:255円
購入場所:ブックオフ吉祥寺店
寸評:普段は環境音のみ収録のいわゆるノンミュージック作品は避けるようにしてるのですが、このCDは表題に「クリスタル・ミュージック」とあり、まんまと騙されて購入してしまいました…。このCDは、写真家・浅井慎平がプロデュース?している旨も表1に記載されているのですが、氏はかつて環境音レコードの大ヒット作『サーフ・ブレイク・フロム・ジャマイカ』の制作にも絡んでいるので、この時点で気づけばよかったな、と反省。本作も41分感、雫が水面に落ちる音を記録したCDであります。小熊達弥による録音で、この時期のフィールドレコーディング系ニューエイジ作品で大活躍したダミーヘッド型マイク「アーヘナコブHMS-1R」を使用し、長時間に及ぶ編集とミックスの末リリースされた由。たしかに音場感はかなり精緻に作られている印象。ライナーには桝田武宗によるエッセイも掲載されています。

 

 

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アーティスト:サンウェイ
タイトル:イグザクト
発売年:1995年
レーベル:ビクター
購入価格:290円
購入場所:ブックオフ荻窪
寸評:「ジャワイアン」(=ジャマイカ+ハワイアン)という謎のコンセプトでデビューしたハワイを拠点とするシンガーSUNWAYによる(おそらく)3rdアルバム。全編英語歌詞で謳われるのですが、サウンドプロデュースはEDISON(日本人です)が担当しており、さらに原盤レーベルもビクター傘下のROUXからなので、日本マーケット向け商品のようです。初期J-R&Bと打ち込みラヴァーズロックが融合したような音楽性なのですが、まだまだこのあたりの音は寝かしておくべきで、ディグり起こすのは早いのかな…と若干購入を後悔する結果に…。その中で(そもそも曲が良いということが大きいかと思いますが)シェリル・リン「Got be real」のカヴァーはなかなか好ましいですね。いきなり高カロリーのラガマフィンラップが闖入してくるのには苦笑してしまいますが…。

 

 

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アーティスト:ヘンリー川原
タイトル:サウンドLSD サブリミナルセックス
発売年:1991年
レーベル:グリーンエナジー
購入価格:510円
購入場所:ブックオフ荻窪
寸評:稀代の香具師・ヘンリー川原氏による一連のサウンドDRUG作の中でも一番キャッチーというか、一番悪ふざけ度が高い、俗流アンビエントの異色作と言えるでしょう。以前本ブログでも『臨死体験』というCDを取り上げましたが、基本的なサウンド傾向はそれとあまり変わらず、思いつきのような電子音がヒュンヒュンと飛び回りつつ、ミニマルなフレーズが消えては出、出ては消えする、オカルティックなニューエイジ作品です。ライナーノーツによると、収録音を構成しているのは、バイノーラル録音されたホワイトノイズ、サイン波(妙なピッチコントロールを伴いながら全編にほわほわ漂う。これこそまさにヘンリー川原節)パルス、地球の振動音、エクスタシーボイズ(男女計6名)、バリのガムラン、ベースとのこと。CD裏にも「多彩な周波の特殊パルスがあなたの脳を強制誘導 一度はまればアトは天国 あなたの意識を異次元へとご案内」という長い惹句の後に、例によって悪ノリした注意文が続いており、芸風の盤石さを感じさせます。発売当時の定価は3,800円也。高過ぎる…。これら一連のサウンドドラッグ作品に先立って、カセットテープ形態で「パラデータサウンド」というシリーズ全8作が試験的にリリースされているとのこと(byライナーノーツ)なのですが、そういうことを言われると欲しくなってしまいますね…。どなたかお持ちの方いらっしゃいますか(ネットに全く情報がない)。

 

 

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アーティスト:マスターマインド
タイトル:法隆寺 〜オリジナル・サウンドトラック
発売年:1994年
レーベル:ソニー
購入価格:510円
購入場所:ブックオフ荻窪
寸評:先走ってTwitterにも書いてしまいましたが、これは相当に良いです!NHK特集『法隆寺』のために書き下ろされたスコアを収録したサウンドトラック盤なのですが、よくあるオリエンタル風ニューエイジを飛び越え、アンビエントテクノとしてかなり上質な出来栄えだと思います。現在は空間サウンドプロデュースなどを手掛けるマスターマインド・プロダクションズの代表小川弘と黒沢永紀によるユニットによる作品で、インタビューなどを読むと、明確にKLFの『Chill Out』などから影響を受けているようです。コンポーズ、演奏、サウンドデザインの各面で旧世代よりモダンな感覚が溢れ出ており、かといってクラブユースな方向性に偏ることなく、品格ある劇伴としてバランスを保っているのが良いですね。お気に入りは④の「大講堂」。二胡の処理に明確な吉川洋一郎オマージュを感じるのは私だけでしょうか。また、ディープ極まりないアンビエント、⑥「百済観音」もいい。⑦「飛鳥建築」は豊田貴志オマージュか?アナログ・シンセ(多分ミニ・モーグ)の音色が胸くすぐるバレアリック曲⑩「夢殿」、一層テクノ色強い「法円寺主題〜変奏」も素晴らしい……。ラストにはなんと砂原良徳による同曲のリミックス版も収録されています。どうやら当時を知る人によると本作、発売元のソニーも単なるサントラという枠組みを超えてテクノ作品としてきちんと売り出そうとしていたらしく、さもありなんという感慨を抱くのでした。

 

 

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アーティスト:難波弘之
タイトル:センス・オブ・ワンダー
発売年:1994年(オリジナル:1979年)
レーベル:キング
購入価格:650円
購入場所:まんだらけ中野店
寸評:中野まんだらけの、アニメ/ゲームサントラ〜イメージアルバムを扱う店舗内に、少しだけ実写作品サントラコーナー(?)があるのですが、このCD、なぜかそこで売っておりました。金子マリ&バックスバニー山下達郎のコンサートバンドのキーボーディスト、あるいは本作と同名のバンド「センス・オブ・ワンダー」を率いることで著名な難波弘之の記念すべきデビュー・アルバム(アニメ音楽作家としても良い仕事が多いので、そのあたりのことがこの盤がまんだらけで売られていた理由なのかな?と)。近頃ですと、83年に12inhcリリースされた『Who Done It?』がバレアリック名盤(最高です)として高騰している氏ですが、その作風は作品ごとにかなりバラバラで、良い意味でカメレオン的。極上のライトメロウからバリバリのプログレまで行き来するその姿は、おそらく世界的にみてもかなり特異なものなのではないでしょうか。しかも氏は実績あるSF作家でもあるのですから、その多才ぶりに驚きます。本デビュー盤も各曲氏のお気に入りのSF小説へのオマージュとなっています。作詞作曲に吉田美奈子山下達郎などの盟友や三枝成彰といった大御所を迎え、演奏陣も上原裕、村上秀一鳴瀬喜博など、かなり多彩&豪華。ライトメロウ調、ハードロック風、コズミックなフュージョン、E,L&P風、ディスコ風、と相当に幅広い音楽性を開陳していますが、本人の弾くアナログシンセサイザーの音色がこの時代ならではの魅力を湛えており、それがアルバム全体の推進力となっているように思います。名盤。ジャケット画は手塚治虫の描き下ろし。

 

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:日渡早紀 アクマくん魔法☆SWEET
発売年:1986年
レーベル:ビクター
購入価格:350円
購入場所:まんだらけ中野店
寸評:SF作品『ぼくの地球を守って』で知られる漫画家日渡早紀が、それ以前に『花とゆめ』にて連載していたアクマくんシリーズのイメージアルバムで、同様に少女漫画の関連作をリリースしていたビクター発の「ファンタスティック・ワールド」シリーズ第9弾作です。大貫妙子や野見祐二らも参加した後の『ぼくの地球を守って』のイメージアルバム(名盤!)も含めて、このシリーズは単なるイメージアルバムの域を超えた音楽的野心に溢れたもので、本作の担当ミュージシャンも矢口博康鈴木さえ子門倉聡上野耕路溝口肇遊佐未森という80年代の良心的作家が顔を揃えている格好です(日渡自身もライナーノーツですごいメンバーが集まってしまったと歓喜している)。内容も、テクノポップ風、アンビエント風、バレアリック風など多彩かつ相当な高クオリティで、時にサラヴァの諸作に通じるようなモダンなヨーロピアンテイストを漂わせたりもしています。個人的には、矢口博康によるバレアリックな各トラックと鈴木さえ子によるプレ渋谷系的小品ボッサ「Misty50」が特に好ましいですね。他も全編素晴らしい。名盤。

 

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:エルフを狩るモノたち サウンドトラックアルバム
発売年:1996年
レーベル:AYERS
購入価格:100円
購入場所:まんだらけ中野店
寸評:月刊『コミックガオ!』に連載されていた矢上裕原作漫画からラジオドラマ化された作品のサントラ盤。他にアニメ化作品のサントラなどもあり、かなりややこしいですね。サウンドプロデュースを手掛ける伊藤ヨシユキ氏は、ランティスの副社長を務めた人で、BGMコンポーズを担当したの伊藤真澄は彼のパートナーでアニメ音楽界では著名な方。他、中村康彦、川口義之(!)、入江直之、有泉一、加藤JOEなど、バッキング陣もかなり豪華。ゆえに全編、単発のラジオドラマと思えないほどのなかなかクオリティとなっています。ライトクラシック、バルカン音楽、エスノ、クラブジャズ、プログレ、ミュゼット…様々な音楽を貪欲に取り込んだいい仕事だといえるでしょう。しかしここでの聴き物はやはり2曲収録された歌入り楽曲だと思います。それぞれ、久川綾冬馬由美という声優がボーカルを取り、シティポップといえばいえなくもないような曲調となっています。アレンジが洒落ているので、歌謡臭から逃れているのが好ましいですね。特に冬馬由美の③「元気のかけら」はフィラデルフィア・ソウル風でかなり良いです。


次回へ続く…。

CDさん太郎 VOL.25 2020/1/17〜27購入盤

 こんにちは。今回は、2020年1月17日から27にかけて東京・新宿と吉祥寺で購入したCD計15枚を紹介します。紹介ペースが買うペースに全然追いつかない…がんばります。
 本シリーズ「CDさん太郎」要旨、並びに凡例は下記第1回目のエントリをご参照ください。

shibasakiyuji.hatenablog.com

 

 

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 アーティスト:篠崎正嗣
タイトル:プロフィール
配布年:1990年
レーベル:キング
購入価格:50円
購入場所:ピュアサウンド新宿店
寸評:80〜90年代を代表するライトクラシック/ニューエイジ系ヴァイオリニスト篠崎正嗣の非売品ベストCDで、おそらく5thアルバム『G線上のアジア』リリース時に業界向けプロモーション盤として配布されたものだと思います。このことからも、当時のキングレコードの力の入れようがわかるというものですね。収録曲はそれぞれ、映画劇伴作品『螢川』、『グラス・ヴァイオリン』、イサオ・ササキとの共作『ストーン』、『ウォーター・ヴァイオリン』、そして新作『G線上のアジア』からピックアップされており、事実上のベスト盤とも言える内容。なのですが、ここが落とし穴というべきか、あくまで当時の感覚で「ベスト」とされているもののみが選ばれている印象。ですので、名盤とされる『グラス・ヴァイオリン』収録曲にしても、今の感覚で好ましく聴けるニューエイジ的なものではなく、あくまでライトクラシック的なベタさがあるものがチョイスされてしまっており、なんともモヤモヤしたものが残ります(このCDの目的を考えれば致し方ないのですが)。その中でも聴き所を探すならば、プログレ・ルーツが素直に表れ出た④「サイクロンB.C.」あたりでしょうか。やはり個人的には、氏が大島ミチルと組んでいたニューエイジ・ユニット「式部」に通じるような方向性の楽曲が聴きたかったところ。

 

 

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アーティスト:バザール
タイトル:バザール
発売年:1989年
レーベル:ソニー
購入価格:150円
購入場所:ピュアサウンド新宿店
寸評:現在はPC環境コンサルタント(?)としても活動するサクラマコトを中心に結成されたPRESENTSを前身とするロックバンドBAZAARの唯一作。プロデュースは笹路正徳。いかにもこの時代らしい「イカ天」以降的なネアカ・ロックサウンドを聴かせてくれるのですが、リズム隊はじめ演奏もかなりファンキーで、ところどころエスノ風というか、いわゆる当時の「ワールド・ミュージック」風アレンジが施されています(KUSU KUSUなどを更にポップにしたような印象も)。ボーカルはかなりハリと粘り系(バービーボーイズKONTAにも少し似ている)。若干E-ZEE BAND的なメロウネスを顔を覗かせる瞬間もあり。という感じで、なかなか聴き応えがある作品かと思うのですが、個人的な好みとはすれ違うかなと…。申し訳ございません。アートワークは後のメロコア風で先見的。

 

 

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アーティスト:森脇健児
タイトル:LANDING DREAM
発売年:1990年
レーベル:キング
購入価格:100円
購入場所:ピュアサウンド新宿店
寸評:おそらくライトメロウ的曲が潜んでいる確立は2%くらいだろうな…と思いつつもついつい買ってしまう癖…これはその極北みたいなCDですね。内容はというと、ひたすら森脇の下手糞かつ無意識過剰な歌唱を、相当にキツい産業ハードロック的オケとともに聴かせられまくるという内容で、いいようのない嫌悪感がこみ上げてきます。唯一面白いのは、①が何故かインストだということ。森脇不在。意味不明。

 

 

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アーティスト:Night Noise
タイトル:Something of Time
発売年:1995年(オリジナル 1987年)
レーベル:BMGビクター(オリジナル:Windhamm Hill)
購入価格:50円
購入場所:ピュアサウンド新宿店
寸評:Night Noiseというグループ名、“Something of Time”というタイトル、最高すぎるジャケット、ウィンダム・ヒル発であること、様々な要素からして最高な予感しかせずよく調べずに購入したのですが、思っていたのと違うなあ…という感じ。Night NoiseはNY出身のヴァイオリン奏者ビリー・オスケイと、アイルランドのトラッドロック・バンド、ボシー・バンド(彼らのアルバムはどれも最高です)の元メンバーでありマルチ奏者のミホール・オ・ドナールの2人を中心としたバンドで、メンバーの経歴取り、ライト・クラシックとアイリッシュ・トラッド、そしてアコースティックなニュー・エイジを混ぜ合わせたような音楽性。確かに良質ではあるのですが…あまり今の私の趣味とは合致せず…。この作品で一番好ましいのはジャケットですね。どうでもいいことですが、本盤、見本盤シールが貼ってあったので、もしかすると上述の篠崎正嗣氏のCDを売った人と同一人物のものだったのかもしれません。音楽性も近しいところがありますし。

 

 

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アーティスト:尾崎亜美
タイトル:アロウズ・イン・マイ・アイズ
発売年:1998年
レーベル:東芝EMI
購入価格:167円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:ベテラン尾崎亜美の(おそらく)27枚目(!)のアルバム。尾崎自身と小原礼による共同プロデュース。LAでのセッションを中心とした構成となっており、参加メンバーの豪華さにまず目を惹かれます。バジー・フェイトン、ニール・ラーセン、ティム・プライス、マイケル・トンプソン、レニー・カストロその他…。日本からは上述の小原礼に加え、松武秀樹シンセサイザープログラマーとして参加しています。これだけの好条件が揃っていれば間違いのないライトメロウ名盤になりそうなものなのですが、さすが90年代後半というべきか、なかなかそうも行かないのが歯がゆいところ。メロウな曲もたしかにあるのですが、全体的にロック色が強く、尾崎が本来持つ歌謡的なテイストと相まって、今の感覚で聴くにはちょっとしんどいかなと……。当たり前なのですが、歌が上手いという生来のアドヴァンテージが却って高タンパク/高カロリーな世界の創出に加担してしまっている印象。その中にあって、⑥「Let's Imagine」。この参加メンツから想像される通りの高クオリティなAORサウンドで、良いですね。せっかくなので、この路線で一枚通して聴きたいなあと思ってしまうのでした。

 

 

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アーティスト:高橋鮎生
タイトル:MEMORY THEATRE
発売年:1985年
レーベル:ミディ
購入価格:650円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:ピアニスト高橋悠治の息子で、70年代後半からアヴァンギャルドシーンを中心に活動する高橋鮎生による名作セカンド・アルバム。坂本龍一をはじめ、鈴木さえ子大貫妙子EPOといった当時のミディ看板アーティスト勢揃いといった様相で、非常に聴き応えのある内容になっています。メンツから想像されるテクノ・ポップ〜シティ・ポップ感はほとんどなく、同時期のネオ・アコースティックやゴシック・ロック、60年代サイケ・ポップやゲンズブールフレンチ・ポップスなどを、現代音楽〜前衛音楽的な手付きでオリジナルに昇華したような内容に思います。いやもう、全編素晴らしいの一言です。ときおり挿入されるピアノを中心としたアンビエントも実に美しい…。特に⑦。80年代の彼のアルバムはどれもこれも良いものばかり。昨今、国外からの注目度もじわじわ上がってきている感じもありますね。

 

 

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アーティスト:日本サウンドエフェクト協会
タイトル:デジタル最新録音&マスタリングによる 効果音大全集⑱ 宇宙・ハイテク
発売年:1992年
レーベル:キング
購入価格:650円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:普段、効果音系CDには手を伸ばさないのですが。これは「宇宙・ハイテク編」と副題があり、おそらく電子音を主体としたトラックが収録されているのでは、と予想。トラックリストを見てみると「宇宙船の飛行中の船内」「ブラックホール」「旧式電子頭脳」「ロボットの変な言葉」「電子回路」など、シンセサイザー好きとしてはぜひとも聴いてみたい効果音がズラリとならんでおり、勇んで(650円も払って!)購入。果たして、ハイテクと謳っておきながら、非常にチープかつ類型的なシンセ・サウンドの応酬とでもいうべきもので、非常に素晴らしい!このアナクロな宇宙観/コンピュータ観は、本作発売よりずっと前、かつて小松崎茂が描いたレトロフューチャリスティックな近未来予想図のサウンドトラックのよう。適当な方程式をおっさんが読み上げる声を電子変調した「ロボットの変な言葉」がインパクト大。アンビエント系のDJをするとき、是非ミックスしたい音が沢山入っています。

 

 

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アーティスト:PTON!
タイトル:OPEN SESAME!!
発売年:1992年
レーベル:バップ
購入価格:167円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:後にFM NACK5のパーソナリティなども努めるシンガー森岡純が所属したバンドによる92年作。当時レベッカプリンセス・プリンセスの系譜で語られていたという通り、元気いっぱいガールポップのバンド版といった趣き。プロデュースに笹路正徳の名を発見したので期待をしたのですが、ちょっとプロデュースしあぐえているような感じで、全体は中庸なのに発される音は妙に派手派手しいというなんとも不思議な出来栄えになってしまっている印象です。曲の強度がそこまであるわけではないし、結果として音楽的着地点がぼやけてしじまった感じが……。上述のBAZAARにしても後述のLANPAにしても、この時期のメジャー発バンド系作品はよほど購入に慎重にならねば…と思った次第です。

 

 

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アーティスト:古内東子
タイトル:SLOW DOWN
発売年:1993年
レーベル:ソニー
購入価格:167円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:「それ持ってなかったの?」案件です。いつでも買えるCDをついに買うタイミングってありますよね。この日のディスクユニオン吉祥寺店は、600円以下のCD/レコードを3枚買うとあわせて500円になるというバーゲンをやっていたもので、数合わせ的に購入。いや、もちろん古内東子が素晴らしいアーティストであることは重々承知だったのですが、特にこれと言った理由もなくこれまでこの名作1stを買わずに来てしまったのでした…。日々ジャンクフード的に消費しているオブスキュアなブックオフCDに比べると、その一流ぶりが眩しすぎて……。しかし内容はやっぱり上質ですね。同時期のシンガーソングライターの中でも傑出した人であることがわかります。シティポップ的にも聴ける②、⑥、⑨あたりが特に素晴らしく思います。

 

 

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アーティスト:MAMA
タイトル:Wie Pie
発売年:1994年
レーベル:EDOYA
購入価格:167円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:「下北沢のジャニス・ジョプリン」こと金子マリが、ロケット・マツやケニー井上、藤井裕、松本照夫といったすごいメンバーと組んだバンド「MAMA」の唯一作。この時期の金子マリさん、実は私、生ライブを観ているんですよね。95年、父に連れられて、塩次伸二や山岸潤史とともに埼玉の皆野ホンキートンクにて行われたギグに行ったのでした。当時はブルースなどに興味を持ち始めている時期だったので、大変刺激を受けたと記憶しています。それ以来、バックス・バニーはもちろん、金子マリさんの名前は僕の中でちょっと特別なものがありまして。そういった感じで、思い出補正がどうしてもはいってしまうので冷静に聴くのが難しいわけですが、このMAMAもかなり良質のファンキー・ロックを聴かせてくれますね。歌の巧さはもちろん、やはり演奏がすごい。④や⑥、⑪は若干AOR的な視点からも聴くようなことができそうな曲。

 

 

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アーティスト:真璃子
タイトル:元気をだしてね
発売年:1989年
レーベル:ポニーキャニオン
購入価格:167円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:84年に文化放送『決定!全日本歌謡選抜』内のオーディション企画でグランプリを受賞したことをきっかけにデビューをした真璃子による4thアルバム。フォーライフ時代の初期アルバムが比較的よく知られている(かもしれない)彼女ですが、ポニーキャニオン時代になると若干大人びた風情を打ち出していくようになったという情報を読み、もしかするとシティポップ的な曲が収録されているのでは?と期待し購入。果たして…全然そんなことありませんでした……。一部アップテンポの「おっ」という曲もあるんですが、いかんせん曲が歌謡曲感満点で、なかなか厳しいものが…。プロデュースは水谷公生と福田泰丸(誰?)が努めています。水谷公生のプロデュースワークって、ハマるときはすごくハマるんですけどね…。タイトルに反して元気を削がれるアルバム。

 

 

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アーティスト:MARDIGRAS
タイトル:Gaia
発売年:1990円
レーベル:ナイトギャラリー
購入価格:350円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:元Dead Endのドラマー田野勝啓を擁するゴシックロックバンドによる唯一作。プレビジュアル系の系譜に位置づけられる存在だと思いますが、X等が圧倒的覇権を握る以前、このシーンは本バンドのようになかなか一筋縄でいかない音楽性のアクト(UKのゴス〜ポジティブパンクから連綿と続く系譜を真摯に受け継いだアクト)が少なくなく、今一度見分してみる必要のある領域かなと思います(私は完全に門外漢ですが…)。この作品も、ジョイ・ディヴィジョンからの影響がかなり色濃く、メタリックなクリシェを安易に奉じない姿勢に好感が持てますね。

 

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アーティスト:宮田まゆみ
タイトル:星の輪 〜宮田まゆみ笙の世界〜
発売年:1986年
レーベル:ソニー
購入価格:167円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:国立音楽大学客員教授でもある東京都出身の笙奏者、宮田まゆみ。これはおそらく彼女の1stアルバムで、伝統雅楽曲に加え、一柳慧やコート・リッペの現代曲を取り上げています。伝統曲での格式ある演奏も素晴らしいですが、聴きものはやはり現代曲。笙がほとんどモジュラー・シンセサイザーの音に聴こえてくる不思議な体験をすることでしょう。また、高田みどりが鳴り物で参加しているのも重要で、やはり彼女が入るとグッと演奏の緊張感が増すように思います。高田は宮田の次作へも参加し、よりコンテンポラリー色強い演奏を聴かせてくれます(それゆえ、個人的好みとしては次作のほうが良いかなあ、というところ)。

 

 

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アーティスト:LANPA
タイトル:水の上のPEDESTRAIN
発売年:1991年
レーベル:テイチク
購入価格:167円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:『イカ天』出演バンドとしては珍しい都会的な音楽性を伴ったアコースティック系バンドによるメジャー・デビュー作。プロデュースは国吉良一が行っており、かなり端正にまとまった多国籍風味フォークロックといった印象。後の佐藤凖プロデュースの3rdアルバムがオブスキュア・シティポップの名盤であるため、どうしてもそういった世界を期待してしまいますが、ここでの音楽性はまったく異なっています。強いて言うなら、10,000マニアックスやナタリー・マーチャントなどの音楽に日本的湿性を加えまくった、みたいな感じです。ボーカルのyachiyoの声も麗しく、そういう耳で聞けば悪くはないように感じますが……。抽象的(だけどオーガニック)なジャケットもいかにもこの時代のオルタナティブなフォークロック風。

 

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アーティスト:LANPA
タイトル:世界の秘密
発売年:1992年
レーベル:テイチク
購入価格:167円
購入場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:上述の1stに続く2nd作。こちらのプロデュースはムーンライダーズ岡田徹が担当。ということで、前作の端正すぎる作りから一歩前進し、ややひねりを交えたオルタナティブ(風)フォークロックとなっています。ですが、メロディーに内蔵された歌謡性はあいかわらず拭い難く、モダンポップ〜ニューウェイブ職人たる岡田をもってしても、仕上がりからモサモサした印象を取り除くことが難しかったように思います。アレンジや音像面ではya-to-iにも通じるところがあり、おっと思う瞬間もないことはないのですが…。なにはなくとも、このバンドについては次作にしてラストアルバムの『画家の恋人』を最優先に購入されることをおすすめします。


次回へ続く…。

CDさん太郎 VOL.24 2020/1/7〜14購入盤

 こんばんは。今回は、2020年1月7日から14にかけて東京・新宿と吉祥寺で購入したCD計13枚を紹介します。
 本シリーズ「CDさん太郎」要旨、並びに凡例は下記第1回目のエントリをご参照ください。

shibasakiyuji.hatenablog.com

 

 

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アーティスト:荒木和作&やまだあきら
タイトル:和作
発売年:2000年(オリジナル:1974年)
レーベル:スカイステーション(オリジナル:トリオ)
購入価格:650円
購入場所:ディスクユニオン新宿中古センター
寸評:ミッキー・カーチスがプロデュースを担当したフォーク系デュオの唯一作(トリオ)を、後年スカイステーションが紙ジャケCD化したもの。喫茶ロック・ブームなどを経て元々数のなかったアナログ盤が高騰して久しいこともあり、長いことCDを購入したかった作品なのですが、この度帯なし安価で購入しました。ミッキー・カーチス制作のフォーク系というとガロなどを思い起こさせるわけですが、まさしくそういった風情を感じさせます。しかしながら彼らの素晴らしいところは、なによりもその洗練されたメロディーにあるかと思います。エミット・ローズやトッド・ラングレンアメリカ、パイロットなどを彷彿とさせるビートルズ(というかポール・マッカトニー)直系の作風で、そのあたりの音楽が無条件的に好きな私にとってはたまらないものがあります。ガロよりもおしゃれ、チューリップよりも控えめ、みたいな感じでしょうか。この作品、例の『レコード・コレクターズ』のシティポップ特集号でもルーツ・オブ・シティポップ的な感じで紹介されていましたが、一部曲でのメジャー7thコードの効果的使用など、たしかにそういう風に捉えることも可能かと思います(もちろん、後年のシティポップにくらべるとアレンジからなにから大分地味ですが……)。

 

 

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アーティスト:浅井ひとみ
タイトル:Dear Friends
発売年:1993年
レーベル:アポロン
購入価格:200円
購入場所:ブックオフ新宿西口店
寸評:CHAGE率いるMULTI MAXにも参加していた女性ボーカリスト浅井ひとみによる、1stアルバムに続くミニ・アルバム。ファーストではラテン・フュージョン的なテイストのナイス・ヴォーカル作(私は未聴)らしいということを見知っていたので、この作品もそういった路線なのかなと思わせますが、さにあらず、実直なウェスト・コースト・ロック風。実際にイーグルスの「デスペラード」のカヴァー入り。バラード系が多くてちょっと私の趣味からは外れる感じなのですが、難波正司、瀬尾一三山川恵津子といった編曲家が堅実な仕事をしており、なかなか聴かせる内容ではあるかと思います。なんだろう…カーラ・ボノフとかのアルバムを聴いているときに近い感覚というか…。歌も非常に上手い。クローザーはベット・ミドラー「ザ・ローズ」の、これま実に実直なカヴァー。一曲くらいキラーなアップ曲が入っていてほしかったなという感想。

 

 

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アーティスト:伊藤公朗&美郷
タイトル:ヤトリ
発売年:2000年
レーベル:ANJALI
購入価格:200円
購入場所:ブックオフ新宿西口店
寸評:1977年にガンジス河源流のヒンズー教聖地バドリーナートにて聖者ナーダヨギに弟子入りし、そこからシタールによる北インド伝統音楽の徒として現地で修行、85年の帰国後からは長野県松本市を拠点に演奏活動を広げる音楽家、伊藤公朗。これはそんな彼がパートナーの歌手・美郷氏(この方も70年代なかばから世界を巡遊する生活をしていたという)と共に制作したファースト作です。シタール音楽は巨大なジャンルであるゆえ、おいそれといっちょ噛みできない深大さがあるわけですが、このCDはあの著名ジャズ・トランペッター近藤等則氏の名前がクレジットされており、これは!と思い購入。果たして、相当に良質な内容でした。タブラや二胡チベタン・ベル、ウードなどによるアコースティックな編成の曲もとても良いのですが、やはり特筆すべきが①や④といった、近藤等則のエレクトリック・トランペットとシンベが絡んでくる曲。よくあるニューエイジの陶酔的/耽美的な様相を超えて、ドープ極まりない世界が作り出されています。ヴォーカリストとしての美郷氏も素晴らしく、過度な抹香臭さを避け、透徹した印象の歌声を聴かせてくれます。ジャケットもちょうどいいスピリチュアルさですね。

 

 

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アーティスト:横澤和也
タイトル:音霊のむすび
発売年:1992年
レーベル:Infini,e
購入価格:200円
入手場所:ブックオフ新宿西口店
寸評:大阪芸術大学演奏学科フルート専攻出身の横澤和也による独奏CD。というのは購入してCDを再生してから気づいたことで、普段石笛なども能くする氏とのことなので、様々な笛の音色が入り交じる多重録音作かと早とちりしていました…。実際はこれフルート一直線のコアな内容。ブックレットに宮下富美夫氏のコメントが寄せられているのですが、その通りかなりヒーリング・ミュージック的な作りで、独奏といえどもクラシカルなテクニックを披露するわけでもなく、フレーズとしてはむしろ尺八や石笛の演奏のような和テイストに貫かれています。相当にストイックな内容ゆえ、あまり繰り返し聴く気持ちにはならないのですが…。ハード・ニューエイジですね。

 

 

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アーティスト:渡辺慎
タイトル:Voices to your heart
発売年:1990年
レーベル:バップ
購入価格:200円
入手場所:ブックオフ新宿西口店
寸評:『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』掲載作です。80年代半ばから鈴木聖美森川美穂などに楽曲提供活動をしていたシンガー・ソングライター渡辺慎平によるデビューアルバム。シティポップ界には山下達郎角松敏生など、構築的なスタジオワークに没頭するタイプのクリエイターが少なくないわけですが、彼もそんな系譜に置くことのできる存在でしょう。作曲/アレンジはもちろん、すべての楽音を打ち込み制作するという念の入れようで、まさしく今2020年に聴きたい感じの楽曲がパンパンにつまった名作といえるかと思います。キラーは①と②でしょうか。アルバム後半に進む従い、思い切り山下達郎マナーのミディアム〜メロウがつづき、それらも素晴らしいです。メロディー・メイカーとしてもなかなかの才気で、このセンスの持ち主が(おそらく既にこういうシティポップ的意匠自体が時代遅れになりつつあったこともあいまって)数作で表舞台から消えてしまったのはかなり残念に思います。現在のDAW環境において彼がどんな曲をつくるのか想像するのも楽しいところ。

 

 

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アーティスト:Edison Band
タイトル:B・G・M〜効果音楽全集〜
発売年:1991年
レーベル:ビクター
購入価格:510円
入手場所:ブックオフ新宿西口店
寸評:本ブログで幾度か登場した『効果音』ならぬ『効果音楽』集。要はホーム・ビデオやアマチュア劇等の劇伴音楽としての使用を企図して販売されたもので、海外でいう音効プロ向けの「ライブラリー」系音源の一般普及版的な立ち位置の音楽です。ご想像の通り、はなから批評的視座をもって鑑賞するという想定から外れた音楽なわけですが、かつてレア・グルーヴのディガーたちが70年代のライブラリー音源から綺羅星の如きブレイクを発見したように、我々もこうした実用CDから素敵なライト・メロウ〜バレアリック〜ニューエイジ音源を発掘しつつあります。この実用音楽ジャンルは、概ねキングレコード制作によるものが大半を占めている印象だったのですが、同じく老舗ドメスティック・メジャーであるビクターからもCDがリリースされていたのですね。キングレコードの方は、おそらく外部音楽制作会社等の謹製で匿名性が高いものなのですが(一部で柳田ヒロなどが参加している作品もあります)、こちらのビクター盤は、秋川雅史の『千の風になって』の編曲や森昌子との仕事、はてはDJ KRUSHとのコラボレーションでも著名な音楽家Edison氏を起用しています。店頭で本作を発見した際、作者クレジットに「Edison Band」とあるので、まさかあのEdison氏のことかな…?と恐る恐る買ってみたのですが、実際に聴いてみると、これはほぼ間違いなく氏の仕事ではないか、と推察します。春夏秋冬の各シュチュエーションに沿って、相当に素晴らしいシンセサイザーによる各種BGM全70曲が矢継ぎ早に現れるさまは、なかなかに圧巻。フュージョンアンビエント、サンバ、ポップ・インストゥルメンタル、レゲエ、ネオ・クラシカルなど、良質音源の宝庫(スーパーのBGMの高級版)。いくつかの曲では、トリガーを駆使したサンプラー使いが絶妙なヒップホップ感を演出し(㉗はまるでマーリー・マール)、効果音楽というジャンルに新鮮な風を吹き込んでいます。名盤。

 

 

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アーティスト:MILLIE
タイトル:MY BOY LOLLIPOP AND 31 OTHER SONGS
発売年:1994年
レーベル:Combo Records
購入価格:200円
入手場所:ブックオフ新宿西口店
寸評:以前売ってしまったものの買い直し盤です。UKをはじめ当時の世界へ(日本盤EPも出ていた)スカという音楽を知らしめたミリー・スモール、ならびに彼女の大ヒット曲「マイ・ボーイ・ロリポップ」。64年の本曲を皮切りに、当時のモッズ族を中心に絶大な支持を集めることになった彼女の音楽は、今あらためて聴くと本国のスカから離れてかなりポップ(R&B)に振り切ったものに聴こえますが、これこそが得難い味わいであって、私のような60年代イギリスにおけるユース・カルチャーがめちゃくちゃ好きな人間からすると、たまらない魅力なのでした。このCDは、そのミリーの数ある曲を32曲も収録した(今もかつても)決定的なベスト選集とされているものです。若干怪しげなドイツのレーベル発なのですが、マスタリングも特に問題なく、楽しく聴くことが出来ます。ひたすら明るい。ありがとうございます。

 

 

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アーティスト:珉珉
タイトル:MING MING
発売年:不明(1990年前後?)
レーベル:MING MING MUSIC
購入価格:167円
入手場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:「#ネットに情報がないCD」です。検索しても餃子屋さんしか出てきません。こういうものを店頭で発見してしまうとどんなに正体不明だろうと(というかそれがイイわけですが)完全に当てずっぽうに買ってしまうのでした。ジャケットからもまったく音楽性が想像できませんし、もしかしたら未発見のオリエンタル・ニューエイジか?とのかすかな期待を抱いて……。で、家に帰って再生してズッコケるといういつもの流れ。もろハードロック(調の歌謡曲)でした。そうなると完全に私の趣味外……。いかにも「当時のハード・ロック好きの素人達がわいわいやっている」(コアなメタル風じゃないところがアレ)という、なかなか現在の聴取感覚からは評価すべき点を見出しづらい作品でした。バンド名に現れている通り、歌詞はなぜか中国〜台湾をテーマとしており(メンバー名を見るとそららの国出身者は居なそうですが……)、意味不明。ミックスも隙だらけで、各曲のマスタリング・バランスもバラバラなのですが、演奏はやけにうまくて興味深いところですね。一昔前の御茶ノ水楽器店街の試奏コーナーから聴こえてきそうなテクニカルなギターが全編にフィーチャーされています。

 

 

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アーティスト:Euphoria
タイトル:S.T.
発売年:1989年
レーベル:メルダック
購入価格:100円
入手場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:同名のアクトが各国色々と存在しますが、これは包国充、ロミー木ノ下、樋口晶之とう竜童組のメンバーを中心としたフュージョン・バンドの1stアルバム。キーボードには羽毛田丈史も参加しており、これだけの手練が集まればその内容も保証されようというもの。全体に非常にそつのない演奏が繰り広げられ、アレンジも実に堅実なもの。個人的にはもうちょっと電子音楽(打ち込み)に寄っていたり、ポスト・プロダクションに凝っていたり、ダルでチルなものが好きだったりするですが、こういう安心感もまた良いのではないかなと思いました(それゆえ、BGMとしての練度は非常に高いと言えます)。

 

 

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アーティスト:Henry Jacobs Vortex
タイトル:Electronic Kabuki Mambo
発売年:2002年(オリジナル:1959年)
レーベル:Locust Music(オリジナル:Folkways)
購入価格:167円
入手場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:1959年にフォークウェイズからリリースされた初期電子音楽名作『Highlights Of Vortex』を、アラン・ワッツ作品等のリイシューで知られるロカスト・ミュージックが2002年に再発したものです。実をいうと、フォークウェイズのカタログというのはサブスクリプション・サービスで全て聴くことができるのですが、「こんな再発盤が出てたんだ!」という驚きで(めちゃくちゃ安かったこともあって)つい買ってしまったもの。内容についてはここで私がどうこういうまでも無いアヴァンギャルド名作なのですが……。映像作家ジョーダン・ベルソンと共にサンフランシスコのモリソン・プラネタリウムで開催された音と映像のイベントでの上演記録盤ということで、スタジオ作にはない丁々発止の生々しさが魅力といえるでしょうか。個人的にはやはりリズム楽器が加わった曲が面白く、現在のIDMに脈々と続くようなメカニカルかつグラフィカルな電子音楽美学がこの時点で萌芽していることに驚きを覚えます。ジョン・アップルトンとかよりとっつきやすい、言うならば、「かわいいアヴァンギャルド」。

 

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アーティスト:Richard Burmer
タイトル:Across the View
発売年:1989年(オリジナル:1989年)
レーベル:東芝EMI(GAIA RECORDS)
購入価格:100円
入手場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:リチャード・バーマーは米国のニューエイジ系音楽家で、これは彼の4枚目のアルバムにあたる作品。表題曲がJ-WAVE開局時の初オンエア曲に選ばれたことにあわせて、オリジナル・リリースの翌年に日本発売されたのがこのCDということになります。なぜJ-WAVEがこの曲をチョイスしたのかよくわかりませんが、なんとも当たり障りのないシンセサイザーによるニューエイジ曲。まあたしかに当時の感覚からすればまっとうなピックアップだったのだろうなと想像します。一時期は同名の番組も存在しており、J-WAVEにとってこの曲の重要性は非常に高いものだったようですが、移ろう時代につれて今は番組も終了、放送内で度々使用されていた同曲も今ではほとんど使われなくなっているようです(今でも日曜夜のインターバル・シグナルでまだ使われているらしい?)。本作の他曲についても、同じように非常にチージーニューエイジがほとんどなのですが、時折はっとするような美しい純アンビエントが収録されているので油断がなりません。特に④は素晴らしい。

 

 

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アーティスト:斉藤さおり
タイトル:FOLLOWING MY HEART
発売年:1988年
レーベル:ソニー
購入価格:290円
入手場所:ブックオフ吉祥寺店
寸評:近年はアニソン界隈での活動を行ってきた、後の麻倉あきらこと斉藤さおり。デビューは86年と古く、ガールポップ・ブームと女性ロッカー・ブームの双方を股にかけるような音楽送り出した方です。かつてソニーのユーザー投票性リイシュー企画「オーダーメイドファクトリー」で、エントリー後過去史上最短の約2日でベスト盤の商品化が決定するなど、今も変わらず一部に熱狂的なファンがいる方。私はロマンティックモードのメンバーとして(麻倉晶名義)として彼女のことを知っている程度だったのですが、偶然見つけたこのソロCDについてDiscogsのジャンル登録をみてみると「Disco, Boogie」とあるではありませんか。なので、これは是非買わねば、と思い購入。果たして……全然ディスコでもブギーでもないじゃん!という……。時々オッと思わせるアレンジもあるのですが、渡辺美里葛城ユキ寄りにした感じというべきか、いずれにせよロック色がギンギンで、今の感覚で聴き通すのはなかなかに辛いかなというところです……。それにしてもDiscogsの「Disco, Boogie」というジャンル表記、これまでにも何度か騙されたことがあるので、信頼しないほうがいいです…。

 

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アーティスト:西村直記
タイトル:UWFインターナショナルに捧げるー キング・オブ・ファイター
発売年:1993年
レーベル:ポリスター
購入価格:510円
入手場所:ディスクユニオン吉祥寺店
寸評:以前に本『CDさん太郎』のVol.20にも登場したコンポーザー/シンセストの西村直記氏。極めて壮大で思い切りニューエイジな作風の方だけに、ポリスターからデビューしていたというのが意外に感じるわけですが、更にこんな作品を残していたことに一層の驚きを感じる次第です。高田延彦UWFから分裂し立ち上げたプロレス団体UWFインターナショナルのために書き下ろした楽曲集ということなのですが、一体全体どういう経緯で西村氏が本作を担当することになったのでしょうか。氏自身もそのあたりの戸惑いめいた気持ちをライナーで吐露しており面白いのですが、その音楽も普段の作風とは全くかけ離れており、ほとんどが「あの頃」の類型的なHR/HM調をなぞったような鋭角的な曲ばかり……ということでかなり聴き通すのが辛いのですが、おそらく当時のリングでも実際に使用されていたものだと思うので、これはこれで正解だったのでしょう。ボーカルには茂村泰彦、河野陽吾らが参加し、シャウトしています。ただ一曲、オープニングトラックの①はDAFのようなインダストリアルなシンセ・ウェイヴ調でなかなか面白いです。

 

次回へ続く…。

 

 

 

CDさん太郎 VOL.23 2020/1/4、5購入盤

 今回は、2020年1月4日と5日に東京・三鷹秋葉原で購入したCD計14枚を紹介します。
 5日、3月までの期間限定で営業中のレコファン秋葉原店に行ってきたのですが、レコードともども想像していた以上の在庫量でびっくりしました。先だって閉店した(一時閉店という体ですが)横浜店の在庫ともおそらく被ってないようだし、渋谷BEAM店から持ってきたものではなさそうだし、一体どこにこれだけの量が隠されていたんだろう…と思いましたが、この10年間でバタバタと閉店していった首都圏近郊各店舗の在庫をこの機会に放出しているということなのでしょうか。そうだとしたらレコファンのウェアハウスにはまだまだ沢山の音楽ソフトが眠っているということで、油断がなりませんね。この日の収穫もかなり芳しかったので、是非引き続き放出をお願いしたいところです…。
 本シリーズ「CDさん太郎」要旨、並びに凡例は下記第1回目のエントリをご参照ください。

shibasakiyuji.hatenablog.com

 

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アーティスト:伊東真由美
タイトル:美人声
発売年:1992年
レーベル:テイチク
購入価格:500円
購入場所:三鷹パレード
寸評:ガールズ・シンセポップ・バンド白雪姫BANDのボーカリストとしてデビューした伊東真由美による92年作のソロ・アルバム。これより以前の東芝EMI時代におけるガールポップ路線から大幅な音楽的変異を遂げた盤とされており、住友紀人のアレンジと相まり一部で和レアリック歌謡の名盤として評価の高い作品であります。私はanoutaさんの『トレンディ歌謡に抱かれて』で取り上げられていることによって本作の存在を知り、更にその後佐藤あんこさんの『後追いGiRLPOPディスクガイド 別館』でも取り上げられているのをみて、これは必ずや手に入れなければと思っていたものでした。果たして、相当な好内容ですね。冒頭から住友紀人の打ち込みワークが冴えまくりで、①「ドラキュラ感覚」はトライバルなパーカッション(ペッカーによるもの。彼は本作のプロデュースも務めています)の連打からサスペンスフルな歌謡ファンクになだれ込むその流れだけで最高。タイトル曲②のアンニュイ・ポップぶりも素晴らしい。中森明菜に歌詞提供した⑦「Dear Friend」も、今の感覚だと原曲よりもこちらの方が好ましく聴けることでしょう。随所で聴かれるツボを押さえたギターは鳥山雄司松下誠によるもの。

 

 

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アーティスト:井ノ浦英雄
タイトル:イラマイノウラ
発売年:1992年
レーベル:A-Z-A Records
購入価格:500円
購入場所:三鷹パレード
寸評:かつては大滝詠一とも演奏をともにし、その後細野晴臣の勧めで久保田麻琴&夕焼け楽団〜サンディー & サンセッツのドラマーとして活動した井ノ浦英雄によるファースト・ソロ・アルバム。これ、めちゃくちゃ最高です…。なんとなく買ったんですが、サンセッツ本隊よりも好きかもしれません。この時期一大(?)ブームをここ日本にも巻き起こしていたインドネシアン・ポップスの大御所、テディ・クルニアやエルフィ・スカエシのリズム・プログラマーとしても活躍していた氏だけあって、サンセッツ経由の(そんじょそこらの付け焼き刃的作品を寄せ付けない)深い理解に基づいたエスノ・グルーヴ・ポップスが展開されるのですが、そのいわゆる「ワールド性」の取り入れ方が非常に奥ゆかしく、本人による品の良いエレクトロニクス使いやジェントルなヴォーカルと相まって、素晴らしく上質なポップスに昇華されています。言うなれば、細野晴臣トロピカル三部作が東南アジアへ出張し、さらなる洗練を重ねたような作品というべきか。現地録音も織り交ぜ、文化収奪的な仕草を丁寧に避けるようなプロダクションがなされているのも素晴らしい。発売元レーベルがWAVEの傘下というのもイイですね。

 

 

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アーティスト:葛生千夏
タイトル:THE CITY IN THE SEA
発売年:1991年
レーベル:Salisbury
購入価格:500円
購入場所:三鷹パレード
寸評:これは長らく探し求めていた盤でした(ブログ「FOND/SOUND」で取り上げられているのを見て以来欲しかった)。嬉しい。葛生千夏は86年に自主リリースEP「ST. AGNES' EVE」でデビューした音楽家で、一般にはあまりひろく知られていないかも知れませんが、『ファイナルファンタジーVI』のCMソングの作詞/編曲/歌唱や、女性向け恋愛シュミレーション・ゲーム『アンジェリーク』劇中曲の作曲を手掛けるなど、ゲーム〜アニメ音楽畑で主に活動していた人です。あの三宅純作品にも頻繁に参加していた彼女の音楽性は、一般的なゲーム音楽とは隔絶しており、レコメン系プログレッシブ・ロックや初期4AD等のゴシック・ロック、あるいはUKフォークなどの影響色濃いものです。この1stフル・アルバムにおいてもそうした音楽性は全面的に開陳されており、ニコやブリジッド・セント・ジョンを思わせる低音ヴォーカルも含めて、非常に好事家受けしそうな世界です。オケの方はシンセサイザーを全面的に駆使したデジタルな質感で統一されており、なんとも形容しがたい無機と有機の結合ともいえるゴシック・ニューエイジを展開しています(よりニューウェーブ色を加味すると、ZABADAKにも近づく気がします)。本作には、ディノスリョービ等のCFイメージソングが6曲も収められていることから、元々オリジナル・アルバムとして企図されたわけでなく、そういったワークスが溜まってきたためリリースしたものかと思うのですが、一貫した統一感があり、オリジナル・アルバムとして非常に聴き応えがあるように思います。白眉は日本語で歌う間を活かしたエスノ・ニューエイジ⑪「真珠」。素晴らしい。

 

 

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アーティスト:上原和夫
タイトル:COSMOS Ⅰ
発売年:1990年
レーベル:AIR Records
購入価格:110円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:これぞ今回最も注目すべき発見。大阪芸術大学音楽学科大学院芸術研究科教授などを務めた日本におけるコンピュータ音楽の草分け的存在、上原和夫が80年代末にソヴィエト、ブラジル、合衆国で行ったコンサートを記録した盤です。70年代初頭にニューヨークに渡り実験音楽/アートの聖地であるThe KITCHENでも公演を行い、その後も現代音楽界においては華々しい活躍をしてきた方ですが、一般的な知名度はそこまで高くないのではないでしょうか。私自身もお恥ずかしながらこの作品に出会うまでお名前も存じ上げませんでした。本作のリリース元はなんと(?)吉村弘の諸作リリースで知られるAIR Recordからで、どういった経緯で制作されたものかほとんど情報がないのですが、全編にわたり非常な緊張感が漲るごくハイクオリティの電子現代音楽となっています。かといってとっつきにくい印象ではなくて、むしろ各種ミニマル・ミュージックやジャパニーズ・アンビエントなどに慣れ親しんだ耳に相当親しみやすいものだと思います。人声とコンピュータによる電子音をコラージュする①や⑤、非常に崇高な電子音楽世界(ちょっとワーグナー風)を描き出す②、2本のクラリネットによるミニマルな反復と深遠な電子音がからむ④、もはやアンビエント・テクノの様相を呈する⑥と、すべてが素晴らしいです……。Discogsやネットなどを見るにCDオンリーのリリースなようで、まだ海外ディガー諸氏にも発見されていない模様です。こんなものが100円で(しかも未開封品)買えてしまうレコファン秋葉原店……。ありがとうございます。

 

 

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アーティスト:KOICHI WATANABE
タイトル:ELECTRONIC MUSIC 1978-1979
発売年:1998年
レーベル:DOPPELGANGER RECORDS
購入価格:650円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:ノイズ、アヴァンギャルド実験音楽等のオンライン・レコード店DOPPELGANGER RECORDSのオーナーである渡辺晃一が12歳の時に制作したという電子音楽作品を後年にコンパイルの上セルフ・リリースしたCD。商品説明によると「荒涼とした関東平野を12歳の時旅したあと、少年ながらそのイメージをサウンドデザインしたもの」とのことで、一台のシンセサイザーとギターのみによって作られたプリミティブ極まりない電子音楽シュトックハウゼンクセナキスの影響を受けているというのも納得のかなり現代音楽「風」の作品ですが、あれらが強靭な理論や実験精神/思想的方法論の上に行われているものだとすると、この音楽はあくまで「難解なもの/抽象的なものを狙った子供によるそれ風の作品」という印象が…(上記書品ページにも「意味不明な電子音」と自分で書いてしまっている)。しかしながら、そのピュアな表現欲求の律動が好ましくもあり、本作に特異な魅力を纏わせることになっていると思います。「アングラ」が覇権を失った今だからこそ、こういった作品の真価を冷静に捉え直していくべきなのかもしれませんね。

 

 

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アーティスト:千堂あきほ
タイトルHOT BOX
発売年:1991年
レーベル:ワーナー・パイオニア
購入価格:250円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:女優/タレントの千堂あきほが91年にリリースしたセカンド・アルバム。『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』掲載盤です。この時期の「学園祭の女王」らしく(?)、非常に軽薄なトレンディー・エレクトロ歌謡なのですが、総じてサウンドのクオリティが高く、聴いていて全然飽きないですね。歌も結構上手です。どうやらプロダクション的にはリリース元ワーナー・パイオニアつながりで中森明菜作品のプロダクション人脈が参加しているようで、そのあたりも高クオリティに寄与しているように思います。ライトメロウ的にみると特に良いのはバキバキなアップ②、ニュー・ミュージックっぽいミディアム・メロウ⑤、そしてドラマチックなブリッジがカッコいい隙間系エレクトロ・ファンク⑦、ボッサ調の⑩でしょうか。

 

 

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アーティスト:中森明菜
タイトル:不思議
発売年:1986年
レーベル:ワーナー・パイオニア
購入価格:110円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:この『CDさん太郎』をやっていると、「それ持ってなかったのかよ!」と突っ込まれても致し方ない盤も紹介しなくてはいけないというアレがあるのですが、本作などはその最たるものじゃないでしょうか。なんというか、「いつでも買える盤は後回しになってしまう」に法則というのがあってですね…そんな話はどうでもよい。このアルバムが中森明菜ディスコグラフィー中にあって非常に特異なものであるということは各所で聞かされて(読まされて)きたわけですが、先だって自分も寄稿させていただいた『ユリイカ』誌のヴェイパーウェイヴ特集内で触れられているのをみて、あ、やっぱり聴かなきゃ、と。本来LPで買ったほうが良さそうな盤ですが、タイミングよく底値でCDが転がっていたため購入。本作の特徴として言われるのがリヴァーブの異常な深さとそれに埋没したヴォーカルですが、こうして聴いてみるとたしかにすごい。アレンジもすごい。ベスト・トラックはやはり③「Labyrinth」か(今まで各所でさんざん語られている作品かと思いますので、アルバムの詳しい内容については割愛します)。

 

 

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アーティスト:原田克彦
タイトル:セイム ドリーム
発売年:1995年
レーベル:トライクル
購入価格:110円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:しゃがれ声が特徴的なAORシンガー・原田克彦による唯一のアルバム。元新日本プロレス社長の原田克彦氏と同一人物か?!と思ったが違う様子。全編を通して骨ばったマッチョなAOR〜ストリート・ロックが収録されており、今の感覚からすると結構キツイ感じなのですが、時折メロウな曲があるので油断できません。特に③はバネのあるビートが軽快なミディアムAORで好ましい。安易なダンスビートに一瞬ぎょっとする⑤も、楽曲構造としてはこれより前の時代のシティ・ポップという感じで、面白く聴けます。氏のブライアン・アダムス的声質、個人的には嫌いではないのですが、こういう曲調とはやや齟齬をきたしている感も…。バックは松下誠美久月千晴湊雅史、中西康晴、岩戸崇など盤石。しかしこの原田克彦、ブックレットをみるとめちゃおしゃれで、2020年ぽいファッションですね(スタイリストさんの良い仕事)。

 

 

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アーティスト:MAYUMI
タイトル:メモリーズ …あなたに会えてよかった
発売年:1992年
レーベル:エイベックス
購入価格:110円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:MAYUMIといってもあのMAYUMI(堀川まゆみ)とは別の人物による(当時の)ドラマ主題歌J-POPカヴァー(小田和正楠瀬誠志郎CHAGE and ASKA今井美樹小泉今日子サザンオールスターズ等)集で、まだクラウンを流通社としていたころの初期エイベックスのリリース作品です。もちろんエグゼクティブ・プロデュースはマックス・マツウラ。TRFブレイク前のエイベックスについては、若干ニセモノっぽいというか、同時期のアルファにも通じるようなチープ感を湛えており、本作もそうしたカラーを反映したものかなと思います。このMAYUMIというのは調べてもよくわからん人で、帯曰く「NYヴィレッジゲートで活躍する注目の本格派ヴォーカリスト」ということなのですが、ホントか!?と思ってしまいます。というのも、下手というのとも違うんですが、なんとも華のないのっぺりした声で、やる気も感じられない「歌い流し」感が……。救いといえるのがオケの方で、後にSMAP等の仕事で大活躍するCHOKKAKUが全面的にサウンド・プロデュースを担ってしています。いかにも時代がかったユーロビート的な意匠をまといつつも、安直なアレンジは周到に避けられ、今聴いてもなかなか心地よいサウンドかなと思います。lightmellowbu的視点ですと、中山美穂遠い街のどこかで…」のカヴァー⑤とB'z「ALONE」のカヴァー⑨が好ましいように思います。

 

 

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アーティスト:吉田美和
タイトル:beauty and harmony
発売年:1995年
レーベル:エピック・ソニー
購入価格:110円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:Twitterにも書きましたが、これ、私が生まれて始めて買ったCDアルバムなのでした(ちなみに、シングルはアルフィー)。別にドリカムのファンでもなかったのになぜなのだろう…と思い返していたのですが、当時いろいろ音楽について教えてくれた親戚のおじさんが「吉田美和の歌はホンモノ」とおっしゃっていたので、そうなのかー!と思って買った記憶が。当時はよくわからず「歌ウメー」みたいな感じで聴いていた記憶がありますが、その後「こんなCD持っているの恥ずかしい…」となって売ってしまったのでした。で、24年後。lightmellowbuとして選盤に参加したレココレ増刊の『シティポップ 1973-2019』で、ハタさんが本作をチョイスしており、懐かしっ!と思ったのでした。で、今回100円だったのでなんとなく再購入してみた次第。いやこれ、めちゃくちゃ素晴らしい!ライトメロウというか、フリーソウル的なをものを感じさせる演奏なのですが、デヴィッド・T・ウォーカー、チャック・レイニーハーヴィー・メイソン、ジェイ・ワインディング、マイケル・ブレッカー、ラルフ・マクドナルド、ジーン・ペイジという超豪華海外ミュージシャンが演奏に参加し、作は全部吉田美和、編曲は中村正人。こういう「玄人目配せ」みたいなインペグは(当時)よくあるけど、仕草を超えて本当に良質というのは実はそこまで多くないような気がしており、そういう意味でも大変貴重だと思います。②「つめたくしないで」と⑦「DARLIN'」は本当に素晴らしい…。とくに前者は当時の記憶が蘇ってくることも相まって、ちょっと泣いてしまいました。Aメロのメロディーと吉田美和の歌唱の美しさはただごとでない。ソングライターとしてもすごい人なのだなと再認識した次第。いや、本当に耳(聴取意識)の変化というのは面白い…。どこのブックオフでも高確率で売っているので、是非どうぞ。サブスクにもあります。

 

 

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アーティスト:不明
タイトル:パワーアップ マインド・コントロールサウンド
発売年:1996年
レーベル:Della
購入価格:110円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:毎度おなじみDellaの『マインド・コントロールサウンド』から「パワーアップ」をテーマにした商品。いつものようにサブリミナル・メッセージ入り。他作と同様シンセサイザーを駆使した作品であるのですが、「パワーアップ」という打ち出しほどにはそこまでパワーを感じない、どちらかというとリラクゼーション効果を狙っているように感じる内容です。全編、アンビエントというにはややメロディックすぎ、ポップ・インストゥルメンタルというには躍動感にかけるのですが、かといって聞き所がないかと言えばそうではなく、アレンジやシンセの音色選択など、なかなかおもしろいアイデアが盛り込まれているように感じます。特にマンボのリズムとフレーズを極限までテンポ・ダウンの上で無機質に敷き詰めたような①は、あまり他で聴いたことのないような妙なヒーリング・ミュージック。他、喜多郎みたいなディープ・ニューエイジ③も面白い。が、なんといっても本作最大の魅力はジャケでしょうか。

 

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:甲子園 KOSHIEN OF DREAMS 夢のかたち
発売年:1991年
レーベル:プラッツ
購入価格:110円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:後のビーイング傘下ZAINレコードにも連なる学研によるレーベル、プラッツに所属する(当時)若手アーティストが傘下したオムニバス作品で、甲子園を目指す高校球児たちを応援するという体のもの。参加アーティストは松浦有希奥井亜紀、斉藤さおり、小野寺明敏といったアニメ・ソング系のアーティストたち。正直言ってなかなか聞き所を探すことが困難な、同時期のビーイング系作品を劣化させたような中庸な印象なのですが、ところどころアレンジや音色の面でおっと思わせる箇所がないでもなく…。特に松浦有希作の②はなぜか岡田徹が編曲を手掛けており、なるほど作品中もっと凝ったアレンジを聴かせてくれます。それにしても、今も昔も、応援ソングというのはなぜこうも保守的な曲調になるのでしょうか。最大公約数な人心動員を狙うという意図が、こうした当たり障りのない音楽を作り上げてしまうのでしょうか。例によってCDジャーナルのミニレビューが傑作なので転載します。「新曲8曲を含んだプラッツ・レーベルの甲子園球児向けガンバレ・ソング。だけど内容は苦くて甘酸っぱい涙を流したOB向けの歌詞がいっぱいで試合中に使える曲はない。やっぱ大人のオモチャなんだよね高校野球って。①はウイ・アー・ザ・ワールド型。」内容はおろか甲子園それ自体すら否定する有様。

 

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:バブルガムクライシス5 MOONLIGHT RAMBLER
発売年:1988年
レーベル:ユーメックス
購入価格:650円
入手場所:レコファン秋葉原
寸評:87年から91年にかけて連続して発売されたサイバーパンクOVAシリーズ『バブルガムクライシス』第5弾のサウンドトラック盤。全編の編曲とほとんどの作曲を馬飼野康二が務め、氏特有のダイナミックでエッジーな劇伴が特徴的で、エレクトロニックなプログレとしてもかなり面白く聴けるかと思います。また、坪倉唯子歌唱のOPテーマとEDテーマも収録していますが、それぞれハイエナジーなロック調、ハードなバラードでそこまで面白くないですね…。一番の聴きものがリンナ役の声優・富沢美智恵の歌う③「真夜中の主役」で、相当に素晴らしいエレクトロ・シティポップ(馬飼野氏の狙いによるとマイケル・ジャクソン風だとか)。この一曲でありがとうございますという感じ。ライナにはレコーディング風景をレポートした写真とテキストも付属しているのですが、これがなかなか面白い。当日、虫歯に苦しむ坪倉唯子がパンチインでなんとか歌を仕上げたことや、忙しすぎる馬飼野康二がスタジオ作業を中座して坪倉に任せて帰ってしまったこと、休憩中みんなでテレビ再放送の『ルパン三世』に見入ったりしたことなど…いいなあ。

 

次回へ続く…。

CDさん太郎 VOL.22 2019/12/30、31購入盤 後半

 怒涛の更新(正月休み中に書き溜めておいてよかった)。今回は、前回に引き続き2019年12月30日と31日に千葉県西部にて購入したCD群から、その後半分20枚を紹介します。
 本シリーズ「CDさん太郎」要旨、並びに凡例は下記第1回目のエントリをご参照ください。

shibasakiyuji.hatenablog.com

 

 

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アーティスト:Alan Roubik
タイトル:Immune System / Pain Relief Series 1
発売年:1995年
レーベル:Hado music
購入価格:110円
購入場所:ハードオフ千葉美浜店
寸評:アラン・ルービックは66年米カリフォルニア州生まれのピアニストで、元々は地元のジャズ・クラブで演奏を行ってきた人。93年に『Promises』というライト・フュージョン・アルバムをリリースするなどしていましたが、95年、当時ニューヨーク在住のI.H.M.国際波動友の会代表で作家の江本勝氏と出会い、「波動」という概念に開眼、それ以降多くのニューエイジ音楽の制作に携わるようになりました。これはその時期の初期作品で、そのものズバリ「Hado music」というレーベルからリリースされています。ロナルド・J・ワインストック博士の監修の元、人体に好影響を及ぼすという「波動」をふんだんに入れ込んだ音楽、という、まあ、よくある実用ヒーリングCD。その演奏はアンビエントというより無個性なスムース・ジャズ〜ライト・クラシック系の生演奏が主体で、個人的趣味からは外れるかなという感じ…。全編にタブラが敷かれた①は少しだけ面白く聴けるか。

 

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アーティスト:The Checkers
タイトル:Blue Moon Stone
発売年:1992年
レーベル:ポニーキャニオン
購入価格:110円
購入場所:ハードオフ千葉美浜店
寸評:チェッカーズのラスト・アルバムで、これ以前から取り組んできたソウル〜R&B路線の集大成的内容。しかも旧来型のシテ・ポップというより同時代に勃興していたアシッド・ジャズ経由のサウンドを志向しているというところが非常に重要。しかも、ほぼ全曲が明確にそういった志向の元で制作されているので、トータル・アルバムとしても素晴らしいです。ファンの中ではラスト・アルバムということもあってどうも悲観的な思い出とともに語られるフシがあるように思いますが、これは本当に傑作だと思います。とくに藤井尚之の才気煥発が印象的。作曲者としてはもちろん、こういうメロウ&ファンキーな曲想でこそ彼のキング・カーティス的サックス・プレイが光るというものではないでしょうか。ソウルフルなボーカリストとしての郁弥の魅力も満天。渋谷系の裏側にあって(一応メインストリームにおいて)こういった洒脱な音楽が作られた(そして正当に評価されることはなかった)ということが非常に興味深いですね。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:藤本ひとみ コレクション
発売年:1989年
レーベル:日本コロムビア
購入価格:110円
購入場所:ハードオフ千葉美浜店
寸評:後に影山ヒロノブのバンド「AIRBLANCA」を迎えてオリジナル・アルバムまで作ってしまうことになるライトノベル作家藤本ひとみ。厚生省職員〜地方公務員として務めながら少年/少女漫画の原作を手がけきたという極めて異色な経歴の持ち主なのですが、80年代から90年代にかけて全国の少女から絶大な支持を集めました。このCDは、藤本作品に登場するキャラクターが演奏を手掛ける?という体のイメージ・アルバムの第二弾作品なのですが、ほとんどが既存のクラシック曲をほぼそのまんま演奏したものとなっており、モノは言いようだな、と思わされます。編曲を手掛けるのは武蔵野音楽大学教授で作編曲家の川辺真で、ここでは商業仕事を行う際の変名たる風戸慎介名義で参加しています。それらクラシック曲はまあ聴いたとおりなので特に言及すべきところはないのですが、唯一の聴きものは唐突に現れるディスコ・ナンバー「DISCO with KARK」。ソウルの欠落した非常に即物的なオーケストラル・インスト・ディスコで、なかなか良いですね。

 

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アーティスト:KUSU KUSU
タイトル:光の国の子供達
発売年:1989年
レーベル:Gorilland Records
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:『イカ天』への出演をきっかけにデビューに至ったエスノ・ファンク・ニューヴェイヴ・バンドの1stアルバム。当時若干20歳そこそこ、可愛らしいルックスのためアイドル的な人気もあったといいますが(デビュー前の原宿ホコ天でのライブは1000人を動員したらしい)、じゃがたらの中村テイユウがプロデュースを務めていることからもわかるとおり、その音楽性はかなり本格的、というかめちゃくちゃ上手い。「じゃがたらのアフロ・ファンク色をポップに薄めたようなバンド」という印象をなんとなく持っていたのですが、改めてこのファーストを聴いて、その演奏力とセンスに恐れ入りました。リンガラやハイチのコンパなどまで射程に収めるパースペクティブ。やや一本調子なことが気にかかりますが、当時のメンバーの年齢を考えれば驚嘆すべきクオリティだと思います。もう少し電子楽器などを取り入れていればバレアリック視点での再評価もできるのかもしれませんが、当時の感覚からすれば生演奏こそモノホン、ということだったのでしょうから、ないものねだりというものですね。その後94年に活動休止するも、幾度か復活ライブを行っています。

 

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アーティスト:ズボンドズボン
タイトル:skirt
発売年:2001年
レーベル:フェスタトライスター
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:亜細亜大学のサークルに集ったメンバーによって結成されたバンド、ブコビッチから発展する形で誕生したズボンドズボン。一般的にはRAG FAIRのフロントマンでタモリ電車クラブ会員の土屋礼央が率いたバンドということで有名だと思います。私もリアルタイムでその存在を認識していたのですが、まさか2020年になって彼らのCDを(100円とはいえ)買うことになるとは思っておりませんでした。lightmellowbuブログ等において部長ハタさんが彼らの音楽を今シティ・ポップ的視点できけないこともないことを度々論じているのを読むうち、すっかり気になる存在に…そしてこの度安価で購入という物語。たしかにグルーヴ・ポップス風のJ-POPとしてかなりの水準だと感じました。演奏もアレンジ力も素晴らしく、いかにも「渋谷系をくぐり抜けた時代のJ-POP」という感じ。しかし、土屋のニキニキした歌唱法に違和感が…歌い方という点ではRAG FAIRのときの方が好ましいように感じました。ラストに収録されているミニ・コントはユーモアのグレイブヤード。ジャケットはなにからなにまでゼロ年代初頭の雰囲気。

 

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アーティスト:玉木宏樹
タイトル:玉木宏樹純正律ミネラル・サウンド remake vol.2
発売年:2004年
レーベル:有限会社アルキ
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:かつて本『CDさん太郎』第8弾にも登場した玉木宏樹。かねてより、玉木宏樹&S・M・T名義での名盤『タイム・パラドックス』(75年作)がプログレッシヴ・ロック・ファンの間で評価が高い東京芸大出身の作曲家/バイオリニストなのですが、そういった作風は一時的なものでむしろヒーリング的な文脈での作品リリースが多くを占めているように思われます。生前、氏の提唱した「純正律」という概念(西洋の平均律に対応する12等分音階)に基づいた作品を多数残していますが、この作品もそんなシリーズの一貫としてリリースされたものです。永六輔がラジオで純正律のヒーリング効果を取り上げるなど、一種のバブル的状況の中でリリースされた本作、その反響の大きさに戸惑う様子が本人執筆のライナーにしたためられており、なかなか面白いです。音楽内容としては、以前取り上げた『音楽浴 高原…はるか空よ』に通じるようなアコースティック・アンサンブルによる保守的なヒーリング・ミュージックで、まあ、そこまで面白いものではないように思います…。確かに音階の特異さが耳に入ってくることもありますが、それ以上にフレーズやアンサンブル構成に既聴感が横溢しており、もっとアヴァンギャルドな方法論での平均律音楽を聴いてみたいな、という欲求が立ち上がってきます。

 

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アーティスト:Do moja
タイトル:Do moja
発売年:1989年
レーベル:MASH RERCORDS
購入価格:290円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:これはまったくもって素晴らしいCDです。年に一度レベルの収穫と言っていいかもしれません。このDo mojaについてはネットにもほとんど情報がなく、例によってCDジャーナルのミニ・レビューと、Discogsへ本作の登録情報があるのみ。どうやら日本人音楽家によるプロジェクト?のようなのですが、これがファースト・アルバムのようです。音楽内容としては、ダブを経由したニュー・ウェーブ〜アヴァンギャルド・コラージュ・ファンク〜歪なラウンジ・ミュージックという感じなのですが、究めてドープな展開の中で時折妙にポップなフレーズが繰り出されたりと、まったくルーツというかジャンル傾向がつかめない…のですが、めちゃくちゃ素晴らしい。80年代のノイエ・ドイチェ・ヴェレなどが好きな人にとってはたまらないのではないでしょうか(私のように)。一方でテリー・ライリーをチープ化したような踊れないミニマル・テクノがあったり、アコースティック・ギターの極めて美しい爪弾きが主導する謎めいたニューエイジ曲があったりと、ますます不可思議。4トラのマルチ・トラック・レコーダーとテレコを駆使して録られたらしい音像もちょうどよいローファイさ(初期vaporwaveっぽい)。discogsなどの情報から推察するに、どうやらレゲエ〜ダブあるいはザ・フールズ〜じゃがたら界隈の「Carioka」という人(おそらく変名?)によるプロジェクトのようです。その諧謔性からはボアダムス的な要素も感じ取れるように思いますし、ミュート・ビート的クールさもあるという。それでいて、全体にメロウネスすら漂っているという。これ、完全に今聴きたい音ですね。90年代初頭にかけて他にも数枚を自主リリースし、6枚組のボックスなんてものも出しているようです(欲しい!)。このDo mojaについて何か情報をお持ちの方、是非ご教示ください。

 

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アーティスト:百石元
タイトル:θ波 潜在脳力開発
発売年:1991年
レーベル:アポロン
購入価格:510円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:SSI脳力活性研究所所長・田中孝顕氏監修による、アポロン発「シータ波ミュージック」シリーズ中の一作。私は他に2枚ほど所有しているのですが、数多い俗流アンビエントのシリーズ中にあって、なかなかに奥ゆかしい音楽的魅力をそなえたもの揃いだと思っています。本作を手掛けたのは、昨今ではAKB関連の編曲仕事でも知られる、百石元。かつては少なくないアニメ関連作品において実に音楽的な楽曲を手掛けている人なので(近年だと「けいおん!」シリーズが代表的仕事か)、俗流アンビエント仕事においても手を抜くことはなかろう、という憶測の元購入。果たしてなかなかの好内容だと感じます。基本的にシンセサイザー・オンリーのよくある俗流アンビエントかと思わせつつ、あくまでメロディーを重視する姿勢が新鮮です。かといって、よくある俗的旋律に陥らないところがさすがで、少ない音数をもって含蓄のあるアレンジを施したりと、プロの作家としての矜持が伝わってくるようです。本業の環境音楽作家の作品にはない面白みが確かに織り込まれているように思います。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:機甲警察 メタルジャック・HARD PLAY
発売年:1991年
レーベル:キング
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:91年4月から12までテレビ東京で毎週月曜夕方に放送されたサンライズ制作SFアニメ作品のオリジナル・ドラマ〜サントラCD。ドラマ部を聴くにサイバー・パンク系の内容のようで、むしろ今になってアニメ作品自体も観てみたい気がしますが…。ついついドラマ部をスキップしたくなるのですが、このCDは場面転換のようにやけにカッコいい劇伴(主にハード・フュージョン)が入っていたりして油断がなりません。とはいえ注目すべきは劇中スコアの方で、これらはすべて初期のZOOの楽曲の編曲も手がけた岩崎文紀の手によるもの。しっかりと生楽器演奏も交えたなかなかにクオリティの高い劇伴です(ちょっと前時代的ではありますが…)。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:新選組異聞 蒼き狼たちの神話1.「天道」
発売年:1991年
レーベル:ビクター
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:『クルセイダー』などで知られる漫画家・水縞とおる原作の新選組作品のドラマCD。ほとんどがドラマなのですが3曲だけ歌ものが収録されています。どれもまあここで言及すべきものでもない気もしつつ…③のOPテーマだけは跳ねたビートとオケのアレンジがすこしだけ面白いテクノロジー・ポップス。が、ただ、それだけ。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:真東砂波オリジナルアルバム ペンギンの王様
発売年:1994年
レーベル:テイチク
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:BL漫画家・真東砂波の作品『ペンギンの王様』のイメージ・アルバム。藤木和人と石塚まみによるThousand Sketchesや、五味美保(五味千賀庫名義)、寺嶋民哉、山口英次など主にアニソン系の作家が集結していますが、全体にめちゃチープな打ち込みハード・ロック〜ポップスがひしめきあっており、ちょっと個人的趣味からは遠慮したい感じ。要するにスーパーのBGM的な感じなのですが、少しでもフュージョン寄りだったら良かったなあ、という。いくつか入っている歌ものもツライ。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:逮捕しちゃうぞキャラクターソングス 歌う警察官
発売年:1995年
レーベル:ビクター
購入価格:290円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:藤島康介原作の漫画『逮捕しちゃうぞ』はアニメ作品としても多大な人気を誇っていた作品で、関連CDも大量にリリースされています。どれを買っていいものかよくわからんなあというところなのですが、安価で売っていたのでコレを購入。キャラクター・ソングスというのは一般的に歌ものにフォーカスした(比較的)練られた楽曲が多く収録されていることが多いのですが、まさに本作もその類でした。ロック調やアイドル・ポップス調を基本として、宴会の演歌カラオケを模したものなどおちゃらけた曲も多いのですが、③、⑤、⑨が素晴らしいです。特に③は「データとデート」という曲名の通り、この当時起こりつつあったパソコン情報革命をモチーフとしたもので、相当に素晴らしいテクノ歌謡。おそらくいわゆる「YMO歌謡」を意識しているのが明白で、小池玉緒などにも通じる世界。本当に良いです。⑤はハイエナジーなテクノロジー・ポップ。⑨は男女警官が歌うロマンチックなテクノロジー・ボッサ。これもかなり良いです。A&M的なソフトロックを確実に視野に入れている感じで、おそらく90年前後のピチカート・ファイヴを意識しているかと思われます。戦前歌謡風のジャケットは意味不明。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:20面相におねがい!! 恋ほど素敵なミュージカルはない
発売年:1991年
レーベル:ビクター
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:CLAMPによる『20面相におねがい!!』の、ミュージカル仕立てオリジナル・ドラマCD。セリフ部は置くとして、OP曲がなかなかよくできたビッグ・バンド・スウィング・ジャズ風のミュージカル・ポップスになっています(歌は新居昭乃)。それもそのはず、全ての作編曲をSMAPの仕事で著名な長岡成貢が手掛けているのでした。とはいえども、キャラクターと原作ありきなことも確かで、音楽単体で楽しもうとするのはなかなか無理があるかもしれません…。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:バトルアスリーテス 大運動会・北海慕情
発売年:1997年
レーベル:パイオニアLDC
購入価格:110円
入手場所:ブックオフ千葉美浜店
寸評:西暦4998年を舞台として、エリートのみが出場することができるスポーツ大会「大運動会」を目指す少女達の姿を描くスペース・オペラOVA作品のオリジナル・ドラマ〜サントラCD。冒頭からあからさまに初期ビートルズ調のテーマソングが流れてきて面食らういますが、その後はいい塩梅にチープな劇伴フュージョン〜ポップスが続きます。少しドゥービー・ブラザーズ風の⑨が好ましいですね。だが、まあ、それだけ。

 

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アーティスト:上野耕路、他
タイトル:帝都大サウンドトラック
発売年:1989年
レーベル:東芝EMI
購入価格:290円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:荒俣宏原作、実相寺昭雄監督の映画『帝都物語』(88年公開)は、加藤保憲役の嶋田久作インパクトもあって、幼少期からなんとなくおどろおどろしい作品だなあ、と畏怖を抱いていました。後年大人になってから観てみると、なんとも狙いすました映画でまったく怖くない、というより残念ながら単純に映画美学的な魅力を感じることがなかったのですが…。ということで、その続編にあたる『帝都大戦』も未鑑賞なのですが、音楽の方に関しては上野耕路が担当しているということでなんとなく興味をもっていたのでした。前作の石井眞木の重厚な作風を受け継ぐような弦楽曲で占められているのですが、どこかコケおどしの昭和ゴシック感というか、妙に深刻ぶりつつ内実は軽薄というか…一連の帝都物語シリーズそのものに通底する軽さが目立っています。しかしそれ自体が悪いことかといとそうでもなく、いかにもこの時代ならではのペダンチック(なのに軽い)ポストモダンぽい文化人仕草に通じるような気がし、時代的資料としても面白いなあと思ってしまうのでした。このあたりが上野耕路の個性とも合致している気がし、そういう意味ではとても含蓄のある劇伴仕事だな、とも。最後、主題歌として使われた(なんで?)ジャニス・イアンの「Heaven Knows」が流れてくるんですが、あまりのギャップに笑ってしまいます。

 

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アーティスト:駒沢裕城
タイトル:イン コンサート
発売年:1994年
レーベル:PANORAMA MUSIC
購入価格:510円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:ex.小坂忠とFour Joe Half〜はちみつぱいのメンバーで、日本におけるペダル・スチール・ギター演奏の第一人者である駒沢裕城のライブ作品。録音はそれぞれ91年に北沢タウンホールで、そして92年にクラブクアトロで行われたもの。これ以前にリリースされたソロ・アルバム『Feliz』(91年作)同様ペダル・スチール・ギターという楽器が奏でる音色の麗美さと、非常に綿密で静謐なアンサンブルの妙を聴かせてくれるインスト曲が揃っています。端的に言って、最高…です…。かねてよりハロルド・バッドやダニエル・ラノワが表現してきたアンビエント世界を日本において独自に究めたといえるような、もはや崇高さすら湛えた音楽。今作においては、田村玄一篠田昌已、関島岳郎、中尾勘二向島ゆり子、六川雅彦、横澤龍太郎という素晴らしいバックアップ・メンバーを得て、より一層深遠な音楽世界を聴かせてくれます。本当に素晴らしい!

 

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アーティスト:吉村弘
タイトル:WET LAND
発売年:1993年
レーベル:東芝EMI
購入価格:510円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:以前吉村弘の『サラウンド』を埼玉のブックオフで発見した時は我が目を疑ったというか、こんな僥倖もう二度とないだろうなあと思っていたのですが、再びあるもんなのですね…しかも大晦日に…。この『WET LAND』は当時東芝EMIが企画した「心の音楽 リラクゼーション・ミュージック」シリーズの一作として企画されたもので、私はこの他に森本浩正氏による作品も所持しているのですが、その作家チョイスからわかるようにそこいらの俗流アンビエントを完膚なきまでに蹴散らす素晴らしい内容です…。生前吉村氏のオフィシャル・ディスコグラフィーから除外されていた作品のようで、その存在が広く知られるようになったのは数年前にYouTubeにフル・アルバムがアップされてからでしょう。Teen Daze始め本作からの影響を公言するアーティストがいたり、その波及力は『サラウンド』や『A.I.R.』、『MUSIC FOR NINE POSTCARD』などに勝るとも劣らないかと思われます。内容に関しては本当に何も言い添える必要がない、どこまでも素晴らしい珠玉の環境音楽。こうやってあらためてじっくり聴くと、本当にハーモーニーのセンスが素晴らしすぎますね。CDオンリーの本作、現在の時価は200ドル前後となっています(CDは逆に発掘されづらいこともあり、出品自体をあまり見かけませんが)。

 

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アーティスト:RHINOCEROS
タイトル:FUNK ON THE RAILROAD
発売年:1991年
レーベル:東芝EMI
購入価格:290円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:江川ホージン、44マグナムのヴォーカリストのPaulこと梅原達也、山根もとつぐ、堀尾てつじらからなるファンク・ポップ・バンドによるセカンド・アルバム。粘りのある相当本格的なリズム・セクションが特長で、デジタル・サウンドに逃げないところも好感が持てます。ボーカルはちょっとKONTA風。華もあり売れそうな要素もあるのですが、いかんせん曲(というかメロディー)がちょっと地味かなあ、という…(済みません)。本来そういう聴き方をするものではないと思うのですが、シティポップ・ディガーからするとやはり物足りないですね(そういう意味でやはりE-ZEE BANDなどは素晴らしい…)。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:外科医 有森冴子Ⅱ オリジナル・サウンドトラック
発売年:1992年
レーベル:バップ
購入価格:290円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:92年10から12月まで日本テレビ系列で放送されたドラマ『外科医 有森冴子 パート2』のオリジナル・サウンドトラック。大橋純子の主題歌に加えて、大野雄二が担当したスコアが収録されています。いきなりバート・バカラック風のオープニング・テーマが楽しく、大野雄二の気合いの入った仕事ぶりが味わえます。他、日常描写系フュージョン⑤、サスペンスフルなシンセ・ウェイブ⑦、もろクインシー・ジョーンズな⑨などなかなか聴きごたえのある曲が多いように思います。しかし、こういう豪奢(で少し歌謡的な)なストリングス・アレンジがほどこされたスコアって本当に減りましたね…。

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:倉橋燿子 ラストシーン
発売年:1994年
レーベル:日本コロムビア
購入価格:290円
購入場所:ブックオフイオンモール成田店
寸評:ライトノベル作家・倉橋燿子の文庫作品『ラストシーン』のイメージ・アルバム。ムーンライダーズ周辺の仕事や文筆業でも知られる渚十吾と、カーネーションのメンバーでもあったキーボーディスト棚谷祐一が全面的に演奏に参加しており、ちょっと一般的なイメージ・アルバムとは様相を異にしております。どういった経緯でこの仕事を受けることなったのかは謎めいていますが、倉橋燿子の世界に寄せつつも、ちゃんと音楽的意思や作家性が入っているところが流石。チープなシンセ・サウンドがホームセンター感をそこはかとなく演出しますが、楽曲構造やアレンジはやはりかなり凝ったものが多く思います。⑦なんて同時期のカーネーションを彷彿とさせるようなロック曲。ヨーロッパ趣味の味付けもなかなか面白いですね。石田よう子の歌う⑩の浮遊感あふれるエイス・ワンダー風トラックも素晴らしい。


次回へ続く…。

CDさん太郎 VOL.21 2019/12/30、31購入盤

 本年も宜しくお願い致します。


 まず告知です。私も末席に加えていただいている、CDエラのシティポップを掘りまくるディガーサークル「lightmellowbu」による本、『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』が来る1/17に刊行されることになりました。僭越ながら私が全体の編集を務め、各コラムや冒頭文書、そしてもちろん一部レビュー執筆にも参加しております。
 これまでのbu紙(ZINE)やブログ掲載レビューを再構成の上収録しているのをはじめ、多数の書き下ろしを交えた合計512枚のCDについてのテキストが一堂に会する様は、まさに圧巻。「集大成」というよりはあくまで濃密な「現状報告」といいたいその内容は、初心者はもちろん、ライトメロウ〜シティポップを熱心に掘ってきた方々にとっても大変な驚きに満ちたものになっているかと思います。一言でいうと、奇書。
 また、単なるオブスキュアなCDの羅列にならぬよう、編年形式を採用し1986年から2006年にかけての音楽シーンにおいて「シティポップ的なるもの」がどのように盛衰/定着/拡散していったのかを追体験してもらえるような作りを意識しました。一般的には「シティポップが終わった時代」とされるこの時代に隠された様々な(ときにいびつな)果実の数々の存在を今2020年において振り返ってみること。シティポップ・ブームの向こう側へと手をのばさんとする、単なるノスタルジーをはねつける刺激的/示唆的な本になったと自負しております。全編に渡り、この『CDさん太郎』と強く共振する意識も横溢しているようにも感じ、今、先鋭的なリスナーにとって、ますますCDの光と影が亡霊のように取り憑きつつあるということを鮮やかに提示している書でもあると考えています。是非お手に取ってみてください。

書籍詳細はこちらから:

diskunion.net

 さて、今回は2019年12/30と31に千葉県西部にて購入したCDを紹介しようと思うのですが…。妻の実家に帰省する工程にくっつけてブックオフハードオフ各店を周遊したのですが、師走ハイも入り混じり、近年まれに見る購入数となってしまいました…。というか、単純に各店在庫の充実ぶりがすごく、興奮のうちに破茶滅茶に買ってしまったのでした(合計39枚)。ですので、2回に分けて更新させていただきます…。今回はその前半回で、30日に全てブックオフSUPER BAZAAER東千葉祐光店で購入した19枚を紹介します。
 本シリーズ「CDさん太郎」要旨、並びに凡例は下記第1回目のエントリをご参照ください。

shibasakiyuji.hatenablog.com

 

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アーティスト:石川よしひろ
タイトル:CHAPTER 002
発売年:1995年
レーベル:パイオニアLDC
購入価格:290円
寸評:渡辺美里藤井フミヤへの楽曲提供経験もあるシンガー・ソングライター石川よしひろによる(タイトルが紛らわしいが)7thアルバム。90年デビューということを考えるとすごいペースですね。熱心なラジオ・リスナーの方であれば「オールナイトニッポン」のパーソナリティを務めていたことや伊集院光と交流が深いことでもご存知かもしれません。この人のCDは今までもブックオフで見かけることがあったのですが、ロック寄りなルックスや帯の惹句に気圧されて購入を躊躇していたのでした。が、(時折そういう店舗がありますが)ブックオフSUPER BAZAAER東千葉祐光店はセールコーナーのCDにOP袋を被せず陳列しているためにブックレットの中身も確認可能。このCDについてもクレジット部を参照してみると、Dr.ストレンジラブなどのロック人脈のミュージシャンに混じって編曲に井上鑑の名が。ジャケットもそれ風だし、これはライトメロウ的可能性がなくはないのでは?ということで購入。はたして…恐れていたとおりの(歌謡的)ストリート・ロック盤でした。つらい気持ちで聴き進めていくと、ただ一曲だけ、井上鑑編曲の⑦だけはかなり良い!やや「ナイト・イン・ニューヨーク」を思わせるイントロから軽やかなAORサウンドに流れ込んでいきます。これぞまさにアレンジの妙ですね。

 

 

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アーティスト:上田知華
タイトル:I WILL
発売年:1991年
レーベル:ビクター
購入価格:290円
寸評:84年リリースの『Classiest』以来久々となる上田知華による歌ものオリジナル・ソロ・アルバム。KARYOBIN時代のワークス含め常に高クオリティな作品を連発してきた彼女ですが、この作品は全編海外プロダクションとなっており、その参加面子の豪華なことがなにより注目すべきトピックでしょう。全編をデヴィッド・キャンベルがアレンジを担当し、ウィルトン・フェルダー、マイケル・ポーカロ、カルロス・ヴェガ、マイケル・ランドウ、ディーン・パークス、デヴィッド・T・ウォーカー、ジェイ・ワインディング、レニー・カストロ、アーニー・フィールズ等…という超豪華メンバー。ザ・バブル。上田自身による作詞作曲のある意味中庸な魅力とハイクオリティなアレンジ/演奏が入り混じり、さすが本場ミュージシャン参加というべき「派手すぎず地味すぎない」盤石のプロダクション。生演奏の魅力を前景に据えることで、ポップスにおける「中道を行く」ことの力強さがよりいっそう表出しているように思います。これといってどの曲が良いとかないんですが…それが好ましさに転換することが幸せ。次作『朝昼夜晴れ』も同様のプロダクションによる佳作となっています。

 

 

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アーティスト:小久保隆
タイトル:DHC SOUND COLLECTION 小久保隆の癒やしの音楽 水
発売年:2008年
レーベル:DHC
購入価格:290円
寸評:以前に本『CDさん太郎』のVol.5でも「森」編をとりあげた小久保隆によるDHCオリジナル非売品俗流アンビエントCDの、「水」編。相変わらずの素晴らしい内容で、やはりこの人はちょっと別格だなあという気持ち。個人的な好みでいうと90年代までのイオン・シリーズにおけるクリスタルかつアブストラクトな作風に入れ込んでいるので、2000年代後期作の一連シリーズは「あの時代のデジタル・シンセサイザーのマジック」が薄まってしまっている気がしてしまうのですが、そもそもの楽曲の良さとアレンジにおける奥ゆかしさ/趣味の良さは健在。水滴る音をバックグラウンドに繰り広げられるメロディック俗流アンビエント世界は、ある種フォーキーとすらいえる魅力を湛えています。一般的な作家がお手軽にピアニックな主情的表現に 流れがちなところ、アコースティック・ギターの清涼感あふれるたゆたいに楽曲自体のムード支配を委ねているのも素晴らしいセンスです。

 

 

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アーティスト:SATOKO
タイトル:BECAUSE I LOVE YOU
発売年:1991年
レーベル:キング
入手場所:ブックオフSUPER BAZAAER東千葉祐光店(※以下全て同店につき略)
購入価格:510円
寸評:テレビアニメ『天空戦記シュラト』主題歌「SHINING SOUL」の歌唱で主に知られる歌手・清水咲斗子(SATOKO)によるサード・アルバム。表題曲が前年にリリースされたスティービー・Bによるヒット曲のカヴァーであることにみられるように、折に触れて洋楽風キャラクターで売り出されていたフシが見受けられる人。(アニソン・ファン的にそれってどう映っただろうか)。それ故にか本盤でもSATOKOという英表記のアーティスト名になっています。他、レニー & ザ・リー・キングスのヒットで知られるビート曲「STOP THE MUSIC」(渋い!)をチープなマハラジャ・ディスコ・アレンジで取り上げるという謎いセンスも面白いですね。全編にわたってジャケットの通りムーディーかつアダルトなブラコン歌謡といった雰囲気で、シティポップ的躍動感はそこまで観察できないものの、捨て置くにはいかない妙なる魅惑が漂っているように思います。特に、全編に編曲を施す勝又隆一が作曲も担当した④あたりはかなり好ましいと感じます。一曲だけでもメジャー・キーのアップ曲があればもっと好印象なのですが。

 

 

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アーティスト:清水綾子
タイトル:JUNE BRIDE
発売年:1990年
レーベル:ビクター
購入価格:290円
寸評:88年に荒木とよひさ作詞、堀内孝雄作曲の「旅愁人~たびびと」でデビューしたシンガー清水綾子のセカンド・アルバム。1stは湯川れい子プロデュースでしたが、ここでは前述の荒木や服部克久がプロダクションに加わっています。編曲に新川博や佐藤凖などライトメロウ者が関わっているので好内容を期待をしたのですが、全編これぞ(前時代型の)ニューミュージックというべき中庸な歌謡曲感が漂っており、なかなかに厳しい内容…。それもそのはずというか、ほとんどの曲を鹿文太郎ことやしきたかじんんが作曲を務めているのでした。そう言われてみると、そのままたかじんの歌唱に脳内で置き換えてしっくりくる湿性の主情的バラードばかり。さようなら…。

 

 

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アーティスト:Jupiter Project
タイトル:VINTAGE WORKS
発売年:1993年
レーベル:東芝EMI
購入価格:290円
寸評:ラジオDJ/評論家の鈴木しょう治が監修、モンチ田中こと田中正彦サウンド・プロデュースを務めた日本国内制作ソウル〜R&Bカヴァー集。若きマーク・パンサードナルド・フェイゲン『ナイトフライ』のジャケットに扮しているアートワークだけで合格!という感じですが、中身もなかなかに充実しています。後述の難波正司作品にも登場しているメロディー・セクストンやケイレブ・ジョーンズがここにも参加し、日本国内制作の本場出身シンガー歌唱R&Bというニッチなジャンルの人的寡占状況に思いを馳せさせてくれます。サウンド的ににも同時代のR&Bやハウスをうまく取り入れており、ようやく一回転して聴けるようになった音楽、という感じでしょうか(まだギリギリNG?)。そこはかとなき「当時のFM」っぽさ。いつかの夜、どこかのステーションのなにかの番組をぼんやりときいている、そんな気分になります。音像も妙にくぐもっており、余計にそんな気分を駆り立てます。

 

 

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アーティスト:杉本竜一
タイトル:NHKスペシャル・オリジナル・サウンド・トラック集 北極圏Ⅱ
発売年:1989年
レーベル:ポリドール
購入価格:510円
寸評:後に同じくNHKの『生きもの地球紀行』の音楽を担当し、その中の楽曲「BELIEVE」が学校教育現場における卒業式時の合唱曲としても定着することになった作曲家・杉本竜一。このNHKスペシャル『北極圏』のサントラでは、よりシンセサイザー音楽寄りの内容となっており、おそらく現在の視点ではこちらの方が好ましく聴けるかと思います。ペレストロイカ期のソ連北部の北極圏を探索する全12回シリーズとあって、壮大な大自然を描かんとする剛健な楽想にまぎれて、偶然にもバレアリックな瞬間がいくつも散りばめられているのでした。番組の舞台が北方ということもあり、いわゆるエスノ〜トロピカル的色彩はまったくなく、厳しい寒さを演出するようなクールなシンセサイザーサウンドが実に素晴らしいです。マイナー・キー楽曲が目立つところは、ドイツのシンセサイザー音楽、あるいはソ連のレーベル<メロディア>の80年代作品との連関も感じさせるといったら言い過ぎでしょうか。特にフュージョン的とすらいえる⑤では途中バラライカ的フレーズが現れるなど、地域性への目配せもされています。⑥はかなり明確にミュンヘン・ディスコを狙っている節があり、杉本竜一の作家イメージがいい意味で覆されます。これは名盤と言っていいのではないでしょうか。なかなか見かけない作品ゆえ、今回は続編のⅡから購入することになってしまいましたが、いつかⅠも手に入れたいと思います。

 

 

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アーティスト:SM-ART
タイトル:夢想美術館
発売年:1993年
レーベル:東芝EMI
購入価格:290円
寸評:作曲、アレンジ、キーボード担当のsuzukiと、ヴォーカル担当のsachiからなる女性二人組ユニット「スマート」のデビュー・ミニ・アルバム。suzuki(鈴木貴子)は元々ソロ活動をしており、89年に行われたヤマハ・EOSシリーズを使用しての楽曲コンテスト「YAMAHA BIG EOS DAY '89」でグランプリを受賞するなど、シンセサイザープ・ログラミングにも長けた人です。92年のソロ・デビュー・アルバムでは小室哲哉も関わっているようです。このスマートも実質suzukiのプロジェクトユニットといって良さそうで、ほぼ全ての音が鈴木による打ち込みサウンドとなっています。音楽性としてはTMNからの強い影響を感じる硬質なテクノ・ファンクといった様相。sachiのヴォーカルも聴きものですが、アイデアフルなトラックの魅力を味わうにはやはりインスト曲が面白いように感じます。出色は④の「深海魚」。イントロが流れ出した瞬間、2020年のiPhoneユーザーならだれしも入電を疑うであろう、iPhoneの着信音に酷似したミニマルなマリンバが主導するドラマティック・テクノ。

 

 

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アーティスト:難波正司 and PACINI SOUND FACTORY Vol.2
タイトル:Pavlov's Dream
発売年:1991年
レーベル:ソニー
購入価格:290円
寸評:桑名正博&ティアードロップスのキーボードでもあり、アラゴンやTスクエアにも参加した難波正司によるソロ名義作品…なのだが、これが妙なコンセプトを掲げた珍作なのでした。男性の亀頭や女性のクリトリスに密集しているパニチ小体という性感帯にもっとも刺激を与えるという帯域(=200Hz)を強調したオリジナル楽曲集と謳われています。要は媚薬的効果が期待できるアルバムということなのですが、その音楽内容は極めてまっとうな和フュージョン〜ポップ・ソウル。たしかに低音域にブーミーな処理が施されているようにも思いますが、あくまで音楽優先でアレンジされているのがいいですね。難波正司のオリジナル曲も聴きものですが、カヴァー曲も「恋のバカンス」「マシュ・ケ・ナダ」「ユー・アー・オンリー・ロンリー」など粒揃いです。演奏陣も松原正樹、今剛、美久月千晴、ジェイク・H・コンセプションなど、非常に豪華。ボーカル陣もメロディー・セクストン、新倉よしみ、スージー・キム、ケイレブ・ジェームス、織田純一郎といった実力派が揃っています。ライナーノーツには女性にモテるためのデート・テクニックや話題について書かれたエッセイも掲載。ジャケットもカッコいい。カーステレオでの再生も推奨されているようですが、一見オシャレなジャケットをまとわせデート相手に本当の効能を悟らせない、という魂胆なのでしょうか。これもVol.2の方を先に見つけてしまったので、ゆくゆくは1や他作も手に入れたいところです(全4集に渡るシリーズらしい)。

 

 

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アーティスト:松田昌
タイトル:オーロラに乗って
発売年:1995年
レーベル:ポニーキャニオン
購入価格:290円
寸評:大野雄二と組んだ79年作『Silent Dialogue』などが予てより中古レコード市場でも人気のエレクトーン/シンセサイザー/ピアノ奏者・松田昌。これは90年代に入りよりニューエイジ的な作風に接近した時期のCDで、オーロラ写真家・門脇久芳のミニ写真集(という体のブックレット)が付属した企画盤です。ソフト・タッチなピアノ・インストは置くとして、やはりここでの聴きものはエレクトーンやシンセをフィーチャーした曲たち。元々ポップスの素養がある人(ビージーズのカヴァー集などというのもあった)だけに、アンビエントというにはやや快活な作風。ときにプログレッシブな構成を聴かせる曲などもあり、若干フォーカスがボケている感も。とくにストリングスが大幅導入されている大仰な曲は遠慮したい…その中にあって、⑥のミディアム・フュージョンは出色です。エアリーなシンセのサウンドをさらまろやかに包み込む多重シンセ・アンサンブル。あの三原善隆による極上作『ナイト・ライダー』へも一脈通じる曲ですね。「サイバー・ワルツ」とでもいいたい⑧もかなり良いです。ちなみに、本作へシンセサイザー・プログラミングで参加している著名エンジニア北城浩志は、私が音楽業界に入って一等最初にお仕事をともにさせていただいたエンジニアさんでもあります。その素晴らしいお仕事ぶりは本作でも十分に味わうことが出来ます。

 

 

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アーティスト:Midori Takahashi
タイトル:プラス思考 〜マインド・コントロールサウンド
発売年:1997年
レーベル:Della
購入価格:290円
寸評:おなじみDellaによる、サブリミナル効果を謳った「マインド・コントロールサウンド」シリーズの中においてもひときわ有名(というか目撃頻度の高い)作品であろう本作。このいかにもA E S T H E T I Cなジャケットもあいまって、俗流アンビエント諸作の中でも人気の高い一作でもあるようなのですが、却ってその目撃頻度ゆえ「いつでも買えるしな」などとたかをくくってきた私、実はこの日まで未所持だったのでした。音楽的には相当に俗的なピアノ・イージーリスニング〜ポップ・インストゥルメンタルという感じで、個人的な好みからいうと結構ツライものが…。が、④はかなり良いと思いました。ミニマルなピアノ・フレーズの上に品のいいシンセ音がゆらいでいくトラック。途中からソプラノ・サックス(のプリセット音)が挿入されてくる構成も素晴らしい。ちょっとポール・ウィンターの作品にも近いかなと。しかしこの音楽を手掛けたMidori Takahasiという人物がどんな方なのか、ネットにあたってもほぼ情報がなくよくわかりません。かなりニューエイジに傾倒している風の同名のTwitterアカウントの存在を確認しましたが、同一人物なのでしょうか。

 

 

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アーティスト:米田健一
タイトル:空が好きだった君に
発売年:1995年
レーベル:GENTLE HRARTS
購入価格:290円
寸評:東京芸術大学音楽学部作曲科出身のシンガソングライター/ピアニストによるファースト・アルバム。90年には名プログレ・バンドKENSOに加入する人ですが、一般的にはスターダスト・レビューのサポート・メンバー(後に正式メンバー)やラグフェアーのプロデューサーとして知られているかと思います。すごく多作な人なので、店頭で見かけてもどれがなんだかよくわからず(キャリア情報から漂うとらえどころのなさもあって)これまで購入を躊躇していたのですが、あまり見かけないファースト・アルバムを発見し、購入。一曲くらいスタレビに通じるようなシティポップが入っていたらいいなあくらいの期待感だったのですが、そのバタ臭いジャケット通りのハードコアなMORが連発する内容。まあそうですよね、と…。しかし、⑤はシティポップといえなくもないような曲で好ましいですね。ニュー・ジャック・スウィングのイディオムを取り入れつつ、それを最大限薄めたようなリズム構成が面白いです。元来きれいなハイトーン・ボイスを持つ人なので、こういうメロウな作風はかなりハマっていると思います。それだけに、他に同傾向の曲がないのが残念。⑥もリズムアレンジにもう少しこだわってくれればJ.D.サウザー的なAORチューンになりえたような、惜しい出来栄え。珍しくシンセを駆使したマイナー・キー曲⑦が、井上陽水をバレアリック視点で再評価線とする昨今の風潮にすこしだけリンクするかもしれないですね。

 

 

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アーティスト:THE RHYTHM KINGS
タイトル:DRAGON COCKTAIL
発売年:1996年
レーベル:パイオニアLDC
購入価格:290円
寸評:米米CLUBパーカッショニストMATAROが中心となって結成されたラテン・ファンク・プロジェクトの唯一作。昨今、80年代を通じてシティ・ポップ文化の一部に強大な影響を与えていたことが考証され、にわかに再注目を浴びるエルボウ・ボーンズ&ザ・ラケッティアーズとその代表曲「ナイト・イン・ニューヨーク」。が、これほどまでにリスペクトと自覚的なオマージュをそれへ捧げたユニットは稀で、実際MATAROはオーガスト・ダーネルを崇拝し、メンバーにもそれ風の衣裳を着させたりしています。また、実際に「ナイト・イン・ニューヨーク」の気合の入ったカバーも収められており、崇拝ぶりが見て取れます(そのあたりを見誤るとこのギャングスタ風のジャケットの意味が理解できないかもしれない。今思うと、米米CLUB本隊も音楽性/ルックスふくめ相当キッド・クレオール&ココナッツぽいわけですが)。さて、その内容はこれ全編傾聴に値する素晴らしいクオリティのラテン・ファンク〜ソウルのオンパレードで。ずばり名作といえるんじゃないかと思います。数曲あるラガマフィン曲も「時代」ですね。主にヴォーカルを務めるのはCHIERI伊藤智恵理)と、同じく米米CLUB人脈からシュークリームシュのMariが参加しています。また、注目すべきがONE STEP Communicateの三人がコーラス参加し、一部曲でリードを取ったりしているところでしょう。また、バッキングのメンツも松原正樹、有賀哲雄など、豪華です。

 

 

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アーティスト:ワンダフルフィッシュ with デヤケン
タイトル:海辺のわが家
発売年:2001年
レーベル:ニューセンチュリーレコード
購入価格:290円
寸評:千葉県南房総各ビーチの観光振興キャンペーン「ワンダフル・ビーチ」のために結成された中学生から社会人まで幅広い年齢で構成されたご当地アイドルグループによるシングルで、タイトル曲はそのキャンペーンのテーマソングに抜擢されていた由。ベタなバラード調のタイトル曲、当時のアイドル・ポップスの流行りを安易に取り入れたようなc/wとも相当キツイ(歌唱も素人のカラオケ感満天)内容で再び聴くことはないでしょう…。両曲とも作詞に康珍化を迎えており、無駄に贅沢。ワンダフルフィッシュに寄り添う男性ボーカルはデヤケンこと出山謙一によるもの。あのX JAPANのToshlの実兄で、音楽業界で働いた後35歳の時に地元の館山に戻るも、06年からはベトナムホーチミンでカラオケ店経営をしているらしいです。

 

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:アイドル防衛隊 ハミングバード'94夏 ☆トラ・トラ・トラ
発売年:1994年
レーベル:東芝EMI
購入価格:290円
寸評:アイドル+自衛隊という組み合わせをOVA界に提示し、『艦隊これくしょん -艦これ-』や『ガールズ&パンツァー』などに先鞭をつけたというべきアニメ『アイドル防衛隊ハミングバード』のサントラ第二弾。主演声優のヴォーカル曲やBGMにカラオケ版を加えたものですが、さすがにこの設定のアニメにライトメロウ的なものを求めるには無理があったか…全体にタイトル通りスポーティーかつ体育会系の内容でした(ハードロック系が多い)。ただ、工藤崇作、宮城純子編曲の③だけは割に良質なアイドル・テクノ・ポップでした。しかし、自衛隊をテーマにした作品のサブタイトルに「トラ・トラ・トラ」って、いいんでしょうか…。

 

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:アルファ波分析による 胎児と妊婦のバイオミュージック
発売年:1990年
レーベル:ソニー
購入価格:290円
寸評:88年からソニーが展開していた『アルファ波分析によるバイオミュージック』シリーズ中の一作。全作、筑波大学講師でバイオミュージック研究所所長の貫行子氏が監修を手掛けています。同一アーティストでなく、何人かの作家作品をコンパイルしているところが同シリーズの特徴なのですが、現代音楽〜アンビエント・ファンとして見逃せない人が参加していることがあるので油断がなりません。同作にも(他作品と同じく)名盤『カオス・ゾーン』で一部マニアに有名な森本浩正氏が2曲提供しており、注目に値します(逆に言うと、他のライトクラシック系の作家作品はなかなかツライので、スルー)。平素相当に先鋭的な作風の森本氏ですが、ここでは本CDのテーマとして謳われている効能に寄せてきたのか、かなり保守的な楽曲を提供しています。マタニティ・ブルーを解消するという曲②は、ちょっと聴き通すのがしんどかったです…。それでも、楽しいクッキングを謳う③は氏の尖ったセンスを少しだけ垣間見せてくれるミニマルなシンセ曲。しかし、こんな空疎な曲想で楽しいクッキングなどできるのだろうか…。ときおり和気藹々としたフレーズを混ぜ込もうとするプロ意識も感じますが、かえって寒々しい空気を招来しているような気がします。

 

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:アンジェリーク 永遠のヴァカンス Vol.1 〜La Mer〜
発売年:2000年
レーベル:コーエー
購入価格:290円
寸評:コーエー発の女性向け恋愛シミュレーションゲームアンジェリーク』に登場する男性キャラクターのソロ・ボーカル集。このシリーズはどれから手を付けていいか迷ってしまうほどに多数の関連作がリリースされているのですが、かつてlightmellowbu部長のハタさんが本作をライトメロウ的隠れ名作としてZINEにレビューを寄せているのを見て以来気になっていたものです。のっけからいきなりミディアム・ブギーな①が流れ出て、なるほど!という気持ち。これは確かに良いですね。ナレーション曲は飛ばすとして、ミディアムR&B④や⑮、エロチックなボッサ⑨もなかなか。出色は⑦。チープなシンセ・ホーンが気持ちのよいグルーヴィーなアップ・ナンバー。全体に歌唱力に難のある声優さんも降り混じっていますが、そこを稀なる味わいと取れるかどうかが今後のディグにおける分水嶺になってきそうだな、と。

 

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:折原みと ティーンズハート・コレクション
発売年:1990年
レーベル:日本コロムビア
購入価格:290円
寸評:講談社X文庫ティーンズハートから刊行された一連の折原みとラノベのイメージアルバム。これはその第一弾作品です。全編の演奏をNONSECTというバンドが務め、川村万梨阿や亀卦川真浩、そして折原みと自身が代わる代わる歌唱するという構成になっています。NONSECTは後にB'zのサポートキーボードを務める広本葉子や、ELLEGARDENへ楽曲を提供することになるギタリストのホリエアキラらが在籍したバンドで、そういった情報から察されるように、かなりロック志向の音楽性を持っています。ですので、ここでの演奏も基本的にロッキッシュ。おもしろいのは川村万梨阿が歌う②「君だけのブルー」と⑧「Memories」で、曲調さえ違えどそれぞれモロにブルーハーツ「青空」と松田聖子SWEET MEMORIES」を大胆オマージュ(パクリ?)しています。ちなみに、②のいななくようなサックス・ソロはEiji Tokiとクレジットされていますが、これはおそらく誤字で、土岐英史(ときひでふみ)のことではないかなと思います。おもいきりクラレンス・クレモンズ風のソロで爽快。が、隠れたニューエイジやライトメロウを求めて本作を買った身からすると、やはり全編ロック色が強すぎてなかなかツライものがあります…。

 

 

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アーティスト:V.A.
タイトル:ふしぎ遊戯 オリジナル・サウンドトラック
発売年:1995年
レーベル:アポロン
購入価格:290円
寸評:95年4月からテレビ東京で放映されていた人気アニメのサウンドトラック盤。佐藤朱美と今野友加里による主題歌もミレニアル世代の郷愁を誘うかもしれませんが、聴きものは本間勇輔によるスコアの方。早稲田大学の音楽サークル「ナレオ」出身の氏は、『ポンキッキーズ』や『古畑任三郎』のテーマなどで知られる職業作曲家で、スタジオぴえろ系のアニメ音楽を多数手がけたことでも知られています。時空と世界を旅する魔術系アニメという設定にふさわしく、時にオリエンタルに、時にプログレッシブに、時にシリアスにころころと表情を帰る劇伴は、まさしくプロの仕事…という感じ。非常に面白く聞けます。時代柄、ハウスやトランス的な要素が垣間見えるとことも興味深いですね。それにしても全体に異様に高音質なCDで、CDジャーナルからも「さらにBGMの不思議なな立体感には,TV東京系とは思えぬ「やる気」が光っていて感心しました。CDとしてのマスタリングのレベルも高いので,エンジニア志望者も聴くべし。」と賛辞を送られています。


後半へ続く…。